商品やサービスを考えるときに、「顧客のことを考えているつもりなのに、なぜか刺さらない」「誰に向けた企画なのか、だんだんぼやけてくる」と感じることがあります。
顧客理解は大事だとわかっていても、何をどう整理すればよいかは意外と難しいものです。
ただし、顧客理解に使える型はいくつもあります。
STP、ペルソナ、カスタマージャーニー、4C、JTBDはどれも有名ですが、初心者には違いがわかりにくいこともあります。名前だけ知っていても、どれを選べばよいかは意外と迷いやすいものです。
そこでこの記事では、顧客を理解したいときに使いやすい代表的なフレームワークを整理しながら、それぞれの役割の違い、使い分け、初心者向けの選び方をやさしく解説します。
- 顧客理解では何を整理すべきか
- 顧客を理解するために使いやすい代表的なフレームワーク
- それぞれの違いと使い分け
- 初心者が最初に使うならどれがよいか
- 実務での組み合わせ方
最初から全部を覚える必要はありません。まずは「顧客理解では何を見るのか」と「どれから使うか」がわかれば十分です。
顧客を理解したいとき、まず何を整理すべきか
顧客を理解したいとき、いきなり「この商品はこれが売りです」と考えてもうまくいかないことがよくあります。
まず整理すべきなのは、次のような観点です。
- そもそも誰を対象にするのか
- その人はどんな悩みや目的を持っているのか
- どんな流れで知り、比較し、選ぶのか
- 顧客から見て価値は何か
- 顧客は本当は何を片づけたいのか
たとえば、「若手向けの研修を作る」と言っても、それだけでは広すぎることがあります。入社1年目なのか、業務に慣れてきた3年目なのか、忙しくて学ぶ時間が取れない人なのかで、見える景色は変わります。
この段階を飛ばしてしまうと、フレームワークを使っても表面だけになりやすくなります。
だからこそ、最初に「顧客理解では何を見るべきか」を押さえることが重要です。
顧客を理解したいときに使いやすいフレームワーク一覧
顧客を理解したいときに、特に使いやすい代表的なフレームワークは次の5つです。
- STP
- ペルソナ
- カスタマージャーニー
- 4C
- JTBD
共有いただいた早見表でも、顧客を理解したいときのフレームワークとして、この5つが挙げられています。
この中で、どれが一番よいというより、顧客理解のどの面を見たいかによって向いている型が違うと考えるのがポイントです。
STPとは
STPは、市場を分け、狙う相手を決め、立ち位置を整理する型です。
顧客理解の中でも、特に「誰を狙うか」をはっきりさせたいときに向いています。
市場にはいろいろな人がいるため、全員を同じように捉えると施策がぼやけやすくなります。STPを使うと、対象を絞り、その相手に対してどのような立ち位置を取るべきかを整理しやすくなります。
STPが向いている場面
- 誰に向けるかを明確にしたいとき
- 市場の切り方を考えたいとき
- 競合との差別化も含めて考えたいとき
STPが向いていない場面
- 一人の顧客像を深く描きたいとき
- 顧客の感情の流れを見たいとき
ペルソナとは
ペルソナは、典型的な顧客像を具体化する型です。
「誰を相手にしているのか」を、より人間らしくイメージしたいときに向いています。
年齢、役職、悩み、価値観、行動傾向などを具体的に整理することで、抽象的だった顧客像がぐっと見えやすくなります。
ペルソナが向いている場面
- 顧客像を具体的にしたいとき
- 企画やコピーの対象をはっきりさせたいとき
- チーム内で顧客イメージをそろえたいとき
ペルソナが向いていない場面
- 市場全体を整理したいとき
- 顧客の時系列の流れを見たいとき
カスタマージャーニーとは
カスタマージャーニーは、顧客が知る、興味を持つ、比較する、申込む、使う、といった流れの中で、どんな接点や感情があるかを見る型です。
顧客体験を流れで見たいときに向いています。
顧客は、いきなり購入や申込に至るわけではありません。途中で迷い、不安になり、比較し、納得して進みます。カスタマージャーニーを使うと、その流れのどこに課題があるかを見つけやすくなります。
カスタマージャーニーが向いている場面
- 顧客導線を改善したいとき
- 途中離脱の原因を知りたいとき
- 接点ごとの体験を見たいとき
カスタマージャーニーが向いていない場面
- まず顧客像そのものを決めたいとき
- 市場を大きく区切りたいとき
4Cとは
4Cは、顧客価値、顧客コスト、利便性、コミュニケーションの視点で、顧客側から価値を見る型です。
企業目線ではなく、顧客目線で考えたいときに向いています。
「自社が何を売りたいか」ではなく、「顧客から見て価値があるか」「負担はないか」「利用しやすいか」「伝わるか」を整理しやすくなります。
4Cが向いている場面
- 顧客目線で施策を見直したいとき
- 4Pを顧客側から見直したいとき
- 提供価値が本当に伝わるかを考えたいとき
4Cが向いていない場面
- 顧客像そのものを具体化したいとき
- 感情の流れを時系列で見たいとき
JTBDとは
JTBDは、顧客が本当は何を片づけたいのかを見る型です。
表面的な属性ではなく、顧客の根本的な目的や用事に着目したいときに向いています。
たとえば、研修を受けたい人が本当に求めているのは、「講義を受けること」ではなく、「仕事で困らないようになりたい」「上司との会話に困りたくない」かもしれません。JTBDは、そうした本質的なニーズを見つけるのに役立ちます。
JTBDが向いている場面
- 顧客の本当の目的を知りたいとき
- 属性だけでは見えないニーズを知りたいとき
- 新しい価値提案を考えたいとき
JTBDが向いていない場面
- 市場を整理したいとき
- 顧客導線をそのまま設計したいとき
それぞれの違いを簡単に整理すると
ここまで紹介した5つの違いを、簡単にまとめると次のようになります。
- STP → 誰を狙うかを整理する
- ペルソナ → その顧客像を具体化する
- カスタマージャーニー → 顧客体験の流れを見る
- 4C → 顧客目線の価値を見る
- JTBD → 顧客の本当の目的を探る
このように、同じ「顧客を理解したい」という用途でも、それぞれ役割が少しずつ違います。
初心者ならどれから使うべきか
初心者が最初に使うなら、まずはペルソナがおすすめです。
理由は、顧客像を一人の人物として具体化することで、その後のフレームワークも使いやすくなるからです。
いきなり市場や導線の話に入るより、まず「この人は誰か」を明確にしたほうが、全体が整理しやすくなります。
そのうえで、流れを見たいならカスタマージャーニー、価値を見たいなら4C、根本目的を見たいならJTBDへ広げていくと使いやすいです。
迷ったら、まずはペルソナから始めるのがおすすめです。
実務でのおすすめの組み合わせ
実務では、フレームワークは1つだけで使うより、組み合わせたほうが力を発揮しやすいです。
たとえば、顧客理解なら次のような組み合わせが考えられます。
パターン1
- STPで狙う市場を決める
- ペルソナで顧客像を具体化する
- カスタマージャーニーで体験の流れを見る
パターン2
- ペルソナで対象顧客を明確にする
- JTBDで本当の目的を探る
- 4Cで価値の見せ方を見直す
パターン3
- STPで誰を狙うか整理する
- 4Cで顧客目線の価値を整理する
- カスタマージャーニーで接点ごとの課題を確認する
このように、
対象を決める → 顧客像を深める → 体験や価値を見る
の流れで組み合わせると使いやすくなります。
顧客理解でフレームワークを使うときの注意点
注意
フレームワークは便利ですが、顧客理解のつもりで自社の思い込みを整理しているだけになることがあります。
顧客理解でよくある失敗は、次のようなものです。
- 顧客像が広すぎる
- 自社目線で考えてしまう
- 想像だけで作って実態を見ない
- 1つの型だけで全部わかった気になる
特に初心者は、「自分たちが届けたい相手」をそのまま顧客像にしてしまいがちですが、それでは現実の顧客理解からずれることがあります。大切なのは、実際の顧客行動や声に近づくことです。
まとめ
顧客を理解したいときに使うフレームワークはいくつかありますが、最初からすべてを使いこなす必要はありません。
大切なのは、顧客理解のどの面を見たいのかをはっきりさせ、その目的に合った型を選ぶことです。
今回紹介したように、
- STPは誰を狙うかを見る
- ペルソナは顧客像を具体化する
- カスタマージャーニーは体験の流れを見る
- 4Cは顧客目線の価値を見る
- JTBDは本当の目的を探る
という違いがあります。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずはペルソナから使ってみてください。
大切なのは、きれいに整理することではなく、顧客をより現実に近い形で理解し、企画や施策につなげることです。
まずは身近なテーマで1回試してみてください。研修受講者、サイト利用者、見込み顧客、社内制度の利用者など、小さなテーマでも十分です。
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