仕事をしていると、「市場がどう変わっているのかを整理したい」「自社の立ち位置を客観的に見たい」「経営環境を説明できるようになりたい」と感じることがあります。
ただ、経営環境といっても範囲が広く、何から見ればよいのか迷いやすいものです。
そんなときに役立つのが、経営環境を見るためのフレームワークです。
ただし、経営環境を見るための型はいくつもあります。
3C、PEST、ファイブフォース、SWOTはどれも有名ですが、初心者には違いがわかりにくいこともあります。名前だけ知っていても、どれを選べばよいかは意外と迷いやすいものです。
そこでこの記事では、経営環境を見たいときに使いやすい代表的なフレームワークを整理しながら、それぞれの役割の違い、使い分け、初心者向けの選び方をやさしく解説します。
- 経営環境を見るときに何を整理すべきか
- 経営環境を見るために使いやすい代表的なフレームワーク
- それぞれの違いと使い分け
- 初心者が最初に使うならどれがよいか
- 実務での組み合わせ方
最初から全部を覚える必要はありません。まずは「経営環境では何を見るのか」と「どれから使うか」がわかれば十分です。
経営環境を見たいとき、まず何を整理すべきか
経営環境を見たいとき、いきなり「この事業は伸びる」「この施策が必要だ」と結論から入るとうまくいかないことがよくあります。
まず整理すべきなのは、次のような観点です。
- 市場や顧客はどう動いているか
- 競合はどういう立場にいるか
- 自社にはどんな強みと弱みがあるか
- 業界全体はどんな構造になっているか
- 政治、経済、社会、技術の変化はどう影響するか
たとえば、売上が落ちている原因を考えるときも、それが自社の問題なのか、業界構造の問題なのか、外部環境の変化なのかを分けて見ないと、正しい打ち手が見えにくくなります。
この段階を飛ばしてしまうと、フレームワークを使っても表面だけになりやすくなります。
だからこそ、最初に「経営環境では何を見るべきか」を押さえることが重要です。
経営環境を見たいときに使いやすいフレームワーク一覧
経営環境を見たいときに、特に使いやすい代表的なフレームワークは次の4つです。
- 3C
- PEST
- ファイブフォース
- SWOT
共有いただいた早見表でも、経営環境を見たいときのフレームワークとして、この4つが挙げられています。
この中で、どれが一番よいというより、経営環境のどの面を見たいかによって向いている型が違うと考えるのがポイントです。
3Cとは
3Cは、顧客、自社、競合の3つの視点で市場環境を見る型です。
経営環境を見るときの入口として非常に使いやすく、市場の登場人物を整理したい人に向いています。
顧客は何を求めているのか、自社にはどんな強みがあるのか、競合はどう動いているのか。これらを並べて見ることで、自社の立ち位置がかなり見えやすくなります。
3Cが向いている場面
- 市場全体をざっくり整理したいとき
- 顧客、自社、競合をバランスよく見たいとき
- 経営環境分析の入口を作りたいとき
3Cが向いていない場面
- マクロ環境の変化を詳しく見たいとき
- 業界構造そのものを深く見たいとき
PESTとは
PESTは、政治、経済、社会、技術の視点で外部環境を見る型です。
自社では変えられない大きな流れを整理したいときに向いています。
たとえば、法改正、景気動向、社会の価値観の変化、技術革新などは、自社努力だけでは動かせません。しかし、事業には大きな影響を与えます。PESTを使うと、そうしたマクロ環境を見やすくなります。
PESTが向いている場面
- 外部環境の大きな変化を整理したいとき
- 中長期の前提条件を見たいとき
- 自社の外側にある追い風や逆風を見たいとき
PESTが向いていない場面
- 顧客や競合の具体的な動きを見たいとき
- 自社の強みと弱みを整理したいとき
ファイブフォースとは
ファイブフォースは、業界構造を5つの競争要因で見る型です。
市場の中で、どれくらい競争が厳しいのか、どこに圧力があるのかを整理したいときに向いています。
価格競争が起きやすいのか、新規参入がしやすいのか、代替手段は強いのか、買い手や売り手の力はどれくらいか。こうした業界構造を見ることで、「そもそも儲かりやすい市場かどうか」も考えやすくなります。
ファイブフォースが向いている場面
- 業界の競争の厳しさを見たいとき
- 収益構造の背景を考えたいとき
- 競争要因を整理したいとき
ファイブフォースが向いていない場面
- 自社の内部課題を整理したいとき
- 短くわかりやすく全体を見たいとき
SWOTとは
SWOTは、強み、弱み、機会、脅威の4つで現状を整理する型です。
内部要因と外部要因を合わせて見たいときに向いています。
強みと弱みは自社の内部、機会と脅威は外部環境です。
これらを並べて整理することで、自社がどこで勝てそうか、どこに注意が必要かを見やすくできます。
SWOTが向いている場面
- 自社の強みと課題を整理したいとき
- 外部環境も含めて現状を見たいとき
- 戦略の方向性を考える前提整理をしたいとき
SWOTが向いていない場面
- 業界構造だけを深く見たいとき
- 顧客、自社、競合を分けて細かく見たいとき
それぞれの違いを簡単に整理すると
ここまで紹介した4つの違いを、簡単にまとめると次のようになります。
- 3C → 顧客、自社、競合の関係を見る
- PEST → 政治、経済、社会、技術の外部環境を見る
- ファイブフォース → 業界構造と競争圧力を見る
- SWOT → 自社の内部要因と外部要因をまとめて見る
このように、同じ「経営環境を見る」という用途でも、それぞれ役割が少しずつ違います。
初心者ならどれから使うべきか
初心者が最初に使うなら、まずは3Cがおすすめです。
理由は、顧客、自社、競合という3つの視点が直感的に理解しやすく、経営環境を考える入口として使いやすいからです。
3Cで全体感をつかんだうえで、外部環境を深く見たいならPEST、業界構造を深く見たいならファイブフォース、自社の強みと課題を整理したいならSWOTへ広げる流れが使いやすいです。
迷ったら、まずは3Cから始めるのがおすすめです。
実務でのおすすめの組み合わせ
実務では、フレームワークは1つだけで使うより、組み合わせたほうが力を発揮しやすいです。
たとえば、経営環境分析なら次のような組み合わせが考えられます。
パターン1
- PESTで外部環境の大きな流れを見る
- 3Cで顧客、自社、競合を整理する
- SWOTで自社の立ち位置をまとめる
パターン2
- ファイブフォースで業界構造を確認する
- 3Cで市場の登場人物を整理する
- SWOTで戦略の方向性を考える
パターン3
- 3Cで市場の全体感をつかむ
- PESTで中長期の変化を見る
- ファイブフォースで競争要因を深掘りする
このように、
マクロ環境 → 市場構造 → 自社の立ち位置
の流れで組み合わせると使いやすくなります。
経営環境分析でフレームワークを使うときの注意点
注意
フレームワークは便利ですが、分析した気になるだけで終わると意味がありません。
経営環境分析でよくある失敗は、次のようなものです。
- 情報を集めただけで終わる
- 自社に都合よく解釈してしまう
- 外部環境と内部環境が混ざる
- 分析結果が戦略や施策につながらない
特に初心者は、「表を埋めること」が目的になりがちですが、そうではありません。大切なのは、分析結果から何が言えるか、何を考えるべきかを明確にすることです。
まとめ
経営環境を見たいときに使うフレームワークはいくつかありますが、最初からすべてを使いこなす必要はありません。
大切なのは、経営環境のどの面を見たいのかをはっきりさせ、その目的に合った型を選ぶことです。
今回紹介したように、
- 3Cは顧客、自社、競合を見る
- PESTは外部環境の大きな流れを見る
- ファイブフォースは業界構造を見る
- SWOTは自社の内部と外部をまとめて見る
という違いがあります。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずは3Cから使ってみてください。
大切なのは、きれいに分析することではなく、市場や自社の見え方をクリアにして次の判断につなげることです。
まずは身近なテーマで1回試してみてください。自部署の活動、市場の変化、競合の動き、教育施策の立ち位置など、小さなテーマでも十分です。
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経営環境分析だけでなく、その先で使う型も一緒に知っておくと、実務でさらに使いやすくなります。