仕事をしていると、「現状分析はしたけれど、そこからどう戦略につなげればよいかわからない」「やるべきことが多すぎて、どの方向に進むべきか決めにくい」と感じることがあります。
戦略は、思いつきや気合いで作るものではなく、状況を整理しながら方向性を決めていく必要があります。
そんなときに役立つのが、戦略を作るためのフレームワークです。
ただし、戦略づくりに使える型はいくつもあります。
SWOT、TOWS、VRIO、アンゾフ、BCGはどれも有名ですが、初心者には違いがわかりにくいこともあります。名前だけ知っていても、どれを選べばよいかは意外と迷いやすいものです。
そこでこの記事では、戦略を作りたいときに使いやすい代表的なフレームワークを整理しながら、それぞれの役割の違い、使い分け、初心者向けの選び方をやさしく解説します。
- 戦略を作るときに何を整理すべきか
- 戦略づくりで使いやすい代表的なフレームワーク
- それぞれの違いと使い分け
- 初心者が最初に使うならどれがよいか
- 実務での組み合わせ方
最初から全部を覚える必要はありません。まずは「戦略では何を見るのか」と「どれから使うか」がわかれば十分です。
戦略を作りたいとき、まず何を整理すべきか
戦略を作りたいとき、いきなり「これをやろう」と施策に飛ぶとうまくいかないことがよくあります。
まず整理すべきなのは、次のような観点です。
- 自社の強みと弱みは何か
- 外部環境の追い風と逆風は何か
- どこに勝ち筋があるか
- 今後の成長方向はどこか
- 経営資源をどこへ優先配分するか
たとえば、新しい事業を伸ばしたいと思っても、自社の強みと市場機会が重なっていなければ、戦略としては弱くなりやすいです。逆に、強みはあっても市場が縮小していれば、別の選択肢を考える必要が出てきます。
この段階を飛ばしてしまうと、フレームワークを使っても「分析しただけ」で終わりやすくなります。
だからこそ、最初に「戦略では何を見るべきか」を押さえることが重要です。
戦略を作りたいときに使いやすいフレームワーク一覧
戦略を作りたいときに、特に使いやすい代表的なフレームワークは次の5つです。
- SWOT
- TOWS
- VRIO
- アンゾフ
- BCG
この中で、どれが一番よいというより、戦略づくりのどの段階を整理したいかによって向いている型が違うと考えるのがポイントです。
SWOTとは
SWOTは、強み、弱み、機会、脅威の4つで現状を整理する型です。
戦略を作る前提として、自社の内部要因と外部要因をまとめて見たいときに向いています。
自社の強みだけを見ても、外部環境が逆風なら戦略は成り立ちにくくなります。逆に、機会があっても自社に強みがなければ活かしきれません。SWOTを使うと、その両方を並べて見やすくなります。
SWOTが向いている場面
- 現状を整理したいとき
- 戦略の前提条件をまとめたいとき
- 自社の立ち位置を見たいとき
SWOTが向いていない場面
- 具体的な打ち手まで直接出したいとき
- 成長方向を体系的に決めたいとき
TOWSとは
TOWSは、SWOTで整理した要素を掛け合わせて戦略案を考える型です。
分析結果を、そのまま打ち手に近づけたいときに向いています。
たとえば、強み × 機会なら攻めの戦略、弱み × 脅威なら守りや縮小の戦略、というように考えられます。
SWOTが「整理」だとすれば、TOWSは「組み合わせて考える」型です。
TOWSが向いている場面
- SWOTのあとに打ち手を考えたいとき
- 戦略の方向性を複数案出したいとき
- 強みと機会をどう結びつけるか考えたいとき
TOWSが向いていない場面
- まず現状だけを落ち着いて整理したいとき
- 事業ポートフォリオを見たいとき
VRIOとは
VRIOは、自社の資源や強みが本当に競争優位になるかを見る型です。
「この強みは本当に戦略の柱になるのか」を見極めたいときに向いています。
価値があるのか、希少なのか、模倣されにくいのか、組織として活かせるのか、という観点で見ることで、単なる長所と競争優位を分けて考えやすくなります。
VRIOが向いている場面
- 自社の強みを評価したいとき
- 競争優位の源泉を見極めたいとき
- 強みを戦略の核にできるか考えたいとき
VRIOが向いていない場面
- 市場の成長方向を見たいとき
- 複数事業の資源配分を考えたいとき
アンゾフとは
アンゾフは、市場と製品の組み合わせで成長方向を考える型です。
「今の市場で深掘るのか、新市場へ行くのか、新商品へ広げるのか」を整理したいときに向いています。
既存市場×既存製品の深耕、市場開拓、製品開発、多角化という考え方で整理できるため、成長の方向性を比較しやすいのが特徴です。
アンゾフが向いている場面
- 成長戦略の方向性を考えたいとき
- 新市場や新商品に広げるか悩むとき
- 拡大の選択肢を比較したいとき
アンゾフが向いていない場面
- 自社の競争優位を評価したいとき
- 事業の優先順位を資源配分まで含めて決めたいとき
BCGとは
BCGは、市場成長率と相対的シェアで事業ポートフォリオを見る型です。
複数の事業や製品の中で、どこに資源を配分すべきかを整理したいときに向いています。
すべての事業に同じように力を入れるのではなく、成長性と競争力を見ながら優先順位を考えやすくなるのが特徴です。
BCGが向いている場面
- 事業ポートフォリオを見たいとき
- 資源配分の優先順位を考えたいとき
- 複数テーマの育成と縮小を判断したいとき
BCGが向いていない場面
- 単一テーマの戦略を詳しく考えたいとき
- 顧客理解を深めたいとき
それぞれの違いを簡単に整理すると
ここまで紹介した5つの違いを、簡単にまとめると次のようになります。
- SWOT → 現状を整理する
- TOWS → SWOTをもとに戦略案を考える
- VRIO → 強みが競争優位になるかを見る
- アンゾフ → 成長の方向性を選ぶ
- BCG → 複数事業の資源配分を考える
このように、同じ「戦略を作りたい」という用途でも、それぞれ役割が少しずつ違います。
初心者ならどれから使うべきか
初心者が最初に使うなら、まずはSWOTがおすすめです。
理由は、内部要因と外部要因をまとめて見られるため、戦略づくりの土台を作りやすいからです。
いきなり資源配分や成長方向を考えるより、まずは自社の強み・弱みと環境の機会・脅威を整理したほうが全体が見えやすくなります。
そのうえで、打ち手を考えたいならTOWS、強みを見極めたいならVRIO、成長方向ならアンゾフ、資源配分ならBCGへ広げていくと使いやすいです。
迷ったら、まずはSWOTから始めるのがおすすめです。
実務でのおすすめの組み合わせ
実務では、フレームワークは1つだけで使うより、組み合わせたほうが力を発揮しやすいです。
たとえば、戦略づくりなら次のような組み合わせが考えられます。
パターン1
- SWOTで現状を整理する
- TOWSで戦略案を出す
- VRIOで本当に使える強みか確認する
パターン2
- SWOTで立ち位置を整理する
- アンゾフで成長方向を考える
- BCGで資源配分を考える
パターン3
- VRIOで競争優位の核を見つける
- アンゾフで伸ばし方を考える
- TOWSで具体的な打ち手へつなげる
このように、
現状整理 → 戦略案づくり → 強みの見極め → 成長方向や配分の決定
の流れで組み合わせると使いやすくなります。
戦略づくりでフレームワークを使うときの注意点
注意
フレームワークは便利ですが、分析した気になるだけで終わると戦略にはなりません。
戦略づくりでよくある失敗は、次のようなものです。
- 現状整理だけで終わる
- 強みを都合よく解釈してしまう
- 選択と集中ができていない
- フレームワークごとの役割が混ざる
特に初心者は、「全部をよくしたい」と考えがちですが、戦略ではどこに絞るかが重要です。大切なのは、整理した結果を意思決定につなげることです。
まとめ
戦略を作りたいときに使うフレームワークはいくつかありますが、最初からすべてを使いこなす必要はありません。
大切なのは、戦略づくりのどの面を整理したいのかをはっきりさせ、その目的に合った型を選ぶことです。
今回紹介したように、
- SWOTは現状を整理する
- TOWSは戦略案を考える
- VRIOは強みを見極める
- アンゾフは成長方向を考える
- BCGは資源配分を考える
という違いがあります。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずはSWOTから使ってみてください。
大切なのは、きれいに分析することではなく、どこで勝つか、何に絞るかを決めることです。
まずは身近なテーマで1回試してみてください。自部門の重点施策、教育テーマの優先順位、新規テーマの育成方針など、小さなテーマでも十分です。
次に読みたいおすすめ記事
- SWOT分析とは?初心者向けに意味・使い方・具体例をやさしく解説
- 3C分析とは?初心者向けに意味・使い方・具体例をやさしく解説
- 経営環境を見たいときに使うフレームワーク4選 初心者向けに違いと使い分けを解説
- 新規事業を考えたいときに使うフレームワーク5選 初心者向けに違いと使い分けを解説
- プロジェクトを回したいときに使うフレームワーク5選 初心者向けに違いと使い分けを解説
戦略づくりだけでなく、その前後で使う型も一緒に知っておくと、実務でさらに使いやすくなります。