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エレベーターピッチとは?初心者向けに意味・使い方・具体例をやさしく解説

仕事をしていると、「短い時間で要点を伝えなければならない場面」があります。

たとえば、上司に新しい企画を相談するとき、会議の冒頭で提案内容を説明するとき、営業先で商品価値を伝えるとき、交流会で自社サービスを紹介するときなどです。

しかし、限られた時間で説明しようとすると、つい情報を詰め込みすぎたり、逆に抽象的すぎて印象に残らなかったりします。「詳しく説明すれば良さが伝わる」と思っていても、相手が最初の数十秒で興味を持たなければ、その先を聞いてもらえないこともあります。

そこで役立つのがエレベーターピッチです。

エレベーターピッチとは、エレベーターに乗っているような短い時間で、自分の提案や商品、サービス、企画の価値を伝えるためのフレームワークです。短時間で「何を」「誰に」「どんな価値を」「なぜ今伝えるのか」を整理して伝えることを目的とします。

初心者にとってエレベーターピッチが役立つ理由は、説明を短くするだけでなく、相手にとっての価値を明確にできる点です。自分が言いたいことを全部話すのではなく、相手が「もっと聞きたい」と思う入口を作ることが大切です。

目次

この記事でわかること

・エレベーターピッチとは何か
・エレベーターピッチは何に使うのか
・エレベーターピッチの基本的な考え方
・エレベーターピッチの使い方
・エレベーターピッチの具体例
・関連フレームワークとの違い

最初から完璧に使いこなす必要はありません。まずは「エレベーターピッチは短時間で相手に興味を持ってもらうための型だ」とつかめれば十分です。

エレベーターピッチとは?

エレベーターピッチとは、短時間で提案やアイデアの価値を伝えるためのフレームワークです。

「エレベーターで偶然会った相手に、目的階に着くまでの短い時間で自分の提案を伝える」というイメージから、この名前が使われています。

実務では、必ずしもエレベーターの中で話すわけではありません。短い時間で相手の関心を引き、次の会話や検討につなげるための説明方法として使われます。

エレベーターピッチでは、次のような要素を短く整理します。

・誰の課題を解決するのか
・どのような課題があるのか
・何を提案するのか
・どのような価値や効果があるのか
・なぜ今、話を聞く意味があるのか
・次に何をしてほしいのか

たとえば、「新しい研修をやりたいです」と言うだけでは、相手は判断しにくいです。しかし、「若手社員が実務でつまずきやすい契約・知財の基本を、90分のケース演習で学べる研修を提案します。現場からの個別質問を減らし、初期トラブルの予防につなげる内容です」と伝えれば、相手は内容と価値をイメージしやすくなります。

初心者向けに言い換えると、エレベーターピッチは「短い時間で、相手にもっと聞きたいと思ってもらう説明の型」です。

一言でいうと、エレベーターピッチは短時間で提案の価値を伝えるためのフレームワークです。

エレベーターピッチは何に使うのか

エレベーターピッチは、限られた時間で相手に興味を持ってもらいたい場面で使います。

仕事では、相手が最初から長い説明を聞く準備をしているとは限りません。上司、経営層、顧客、関係部署、投資家、協力会社などに対して、短い時間で「これは聞く価値がある」と思ってもらう必要があります。

エレベーターピッチは、次のような用途で使えます。

・上司に企画の概要を相談する
・会議の冒頭で提案内容を短く説明する
・営業先で商品やサービスの価値を伝える
・新規事業アイデアを紹介する
・社内プロジェクトの必要性を伝える
・自己紹介で自分の専門性を伝える
・採用面接や交流会で自分の強みを説明する
・研修やイベントの魅力を短く伝える
・経営層に投資や予算の必要性を伝える

エレベーターピッチは、詳細説明の代わりではありません。詳細説明に入る前に、相手の関心を引き、次の対話につなげるための入口です。

どんな人に向いているか

エレベーターピッチは、特に次のような人に向いています。

・説明が長くなりがちな人
・提案の要点を短く伝えたい人
・営業や商談で最初のつかみを強くしたい人
・企画を上司に短時間で相談したい人
・新規事業や商品企画を説明する人
・自己紹介で印象を残したい人
・プレゼンの冒頭をわかりやすくしたい人
・経営層や忙しい相手に提案する機会がある人
・自分のアイデアを魅力的に伝えたい人

エレベーターピッチは、営業職や起業家だけのものではありません。社内提案、業務改善、教育企画、研究開発、DX推進、採用面接など、さまざまな仕事で使えます。

エレベーターピッチの基本的な考え方

エレベーターピッチの基本は、「短く、相手目線で、次につなげる」ことです。

短く話すだけなら、情報を削ればできます。しかし、それだけでは相手に伝わりません。大切なのは、相手が関心を持つポイントに絞ることです。

たとえば、技術者が新しい分析ツールを提案する場合、自分としては機能や仕組みを詳しく説明したくなるかもしれません。しかし、相手が管理職であれば、「どれだけ工数が減るのか」「判断が早くなるのか」「費用対効果はあるのか」に関心がある可能性が高いです。

エレベーターピッチでは、次の観点を意識します。

・相手は誰か
・相手は何に困っているか
・自分の提案は何を解決するか
・相手にとっての価値は何か
・短時間で覚えてもらう一言は何か
・次にどんな行動を取ってほしいか

エレベーターピッチは、詳しく説明するための型ではなく、相手に「それは詳しく聞きたい」と思ってもらうための型です。すべてを説明しようとせず、最も重要な価値を伝えることがポイントです。

エレベーターピッチの使い方

手順1 相手を決める

最初に、誰に伝えるのかを決めます。

同じ企画でも、相手によって伝えるべきポイントは変わります。上司に伝える場合、顧客に伝える場合、経営層に伝える場合、現場担当者に伝える場合では、関心が異なるからです。

たとえば、社内研修の企画を説明する場合でも、相手によって切り口は変わります。

・上司には、研修の必要性と業務上の効果を伝える
・受講者には、自分の仕事にどう役立つかを伝える
・経営層には、組織リスクや人材育成への効果を伝える
・人事部には、教育体系とのつながりを伝える

エレベーターピッチでは、まず相手を明確にすることが重要です。

手順2 相手の課題を一言で表す

次に、相手が抱えている課題を一言で表します。

相手は、自分に関係がある話だと感じたときに興味を持ちます。そのため、いきなり提案内容から入るのではなく、相手の困りごとや課題を示すと効果的です。

たとえば、次のような形です。

・若手社員が実務で必要な基礎知識を学ぶ機会が不足しています
・営業資料が商品説明中心で、顧客課題に刺さりにくくなっています
・月次集計に時間がかかり、確認作業の負担が大きくなっています
・会議後に決定事項が曖昧になり、実行が遅れています
・生成AIの利用が広がる一方で、社内ルールの理解が追いついていません

課題を言語化すると、相手は「確かにそれは問題だ」と感じやすくなります。

手順3 提案内容を短く伝える

次に、提案内容を短く伝えます。

ここでは、細かい機能や詳細説明に入りすぎないことが大切です。まずは、何を提案しているのかが一文で伝わるようにします。

たとえば、次のような表現です。

・90分のケース演習型研修を提案します
・顧客課題別に使える営業資料テンプレートを作成します
・月次集計を半自動化するExcelテンプレートを導入します
・会議後の議事録フォーマットを統一します
・生成AI利用時の注意点をまとめたミニ講座を実施します

提案内容は、相手がすぐにイメージできる言葉にすることが重要です。

手順4 価値や効果を伝える

次に、提案によって相手にどのような価値があるのかを伝えます。

エレベーターピッチで重要なのは、「自分がやりたいこと」ではなく、「相手にとって何が良くなるのか」です。

たとえば、次のように伝えます。

・若手社員の実務理解を早め、現場からの個別質問を減らせます
・営業担当者が顧客課題に合わせて提案しやすくなります
・月次作業の時間を削減し、転記ミスを減らせます
・会議後の認識違いを防ぎ、実行スピードを高められます
・情報漏えいや著作権リスクを防ぎながら、生成AIを活用しやすくなります

価値や効果は、可能であれば数字や具体的な変化で示すと説得力が高まります。

手順5 次にしてほしい行動を示す

最後に、相手に次にしてほしい行動を示します。

エレベーターピッチは、聞いてもらって終わりではありません。次の会議につなげる、資料を見てもらう、試行を認めてもらう、関係者を紹介してもらうなど、次の行動につなげることが目的です。

たとえば、次のように締めます。

・まずは10分だけ、企画の方向性をご相談させてください
・次回会議で、たたき台を共有してもよろしいでしょうか
・試行実施に向けて、対象部署へのヒアリングを進めたいです
・詳細資料を1枚にまとめたので、ご確認いただけますか
・小規模に始めて、効果を見てから拡大する形で進めたいです

次の行動が明確だと、相手も反応しやすくなります。

エレベーターピッチの具体例

例 社内研修企画を上司に提案する場合

エレベーターピッチを使って、社内研修企画を短く説明してみます。

「若手社員が実務で必要な契約・知財の基礎を学ぶ機会が不足しており、配属後に個別確認が増えています。そこで、ケース演習を中心にした90分の基礎研修を提案します。講義だけでなく、実際の業務場面に近い例で考えるため、現場での初期トラブル予防と質問対応の負担軽減につながります。まずは若手社員10名を対象に試行実施できないか、ご相談させてください。」

この例では、課題、提案、効果、次の行動が短く整理されています。上司は、何のための提案か、どんな価値があるか、次に何を判断すればよいかを理解しやすくなります。

別の例 業務改善案を会議で説明する場合

業務改善案にも、エレベーターピッチは使えます。

「月次レポート作成では、複数ファイルから手作業で数字を転記しており、毎月の作業時間と確認負荷が大きくなっています。そこで、入力フォーマットを統一し、Excelテンプレートで集計を半自動化する方法を提案します。これにより、作業時間を短縮し、転記ミスも減らせます。まずは今月の処理で小さく試行し、効果を確認したうえで正式運用に移したいです。」

この例では、改善の必要性と実行方法が短く伝わります。相手にとっても、いきなり大きなシステム投資ではなく、小さく試せる提案として受け止めやすくなります。

具体例でわかるポイント

エレベーターピッチの具体例から、次のようなポイントがわかります。

・最初に相手の課題を示すと関心を引きやすい
・提案内容は一文で伝わるくらい短くする
・価値や効果を入れると、聞く意味が伝わる
・最後に次の行動を示すと、話が前に進みやすい
・詳細説明ではなく、対話の入口として使う

エレベーターピッチは、短く話す技術であると同時に、相手目線で価値を整理する技術です。

エレベーターピッチを使うメリット

エレベーターピッチを使うメリットは、短時間で相手の関心を引けることです。

仕事では、説明時間が十分に取れないことがあります。上司が忙しい、会議の時間が短い、顧客がまだ興味を持っていない、経営層に一瞬で要点を伝える必要がある。そのような場面では、長い説明よりも、短く価値を伝える力が重要です。

エレベーターピッチの主なメリットは、次のとおりです。

・短時間で提案の価値を伝えられる
・相手の関心を引きやすい
・説明の要点が整理される
・企画や営業の最初のつかみに使える
・上司や経営層への相談がしやすくなる
・自分のアイデアを言語化しやすくなる
・詳細説明や次回面談につなげやすい
・自己紹介や面接でも使える

また、エレベーターピッチを作る過程で、提案の本質が見えてきます。「誰の、どんな課題を、どう解決するのか」を短く言えない場合、企画自体がまだ整理されていない可能性があります。

エレベーターピッチを使うときの注意点

エレベーターピッチを使うときは、短くすることだけを目的にしないことが大切です。

短くても、相手にとって価値が伝わらなければ意味がありません。また、短時間で強く売り込みすぎると、相手に押しつけがましい印象を与えることもあります。

よくある失敗例は、次のとおりです。

・自分が言いたいことだけを話している
・相手の課題が入っていない
・提案内容が抽象的でイメージできない
・効果や価値が曖昧
・専門用語が多すぎる
・情報を詰め込みすぎて早口になる
・次に何をしてほしいのかが不明確
・売り込み感が強すぎる

特に注意したいのは、相手目線の不足です。エレベーターピッチでは、「この企画はすごいです」ではなく、「相手のどの課題をどう解決するのか」を伝える必要があります。

また、エレベーターピッチは万能ではありません。複雑な提案や高額な投資判断では、短い説明だけで決裁されるわけではありません。あくまで、次の説明機会を得るための入口として使うことが重要です。

関連フレームワークとの違い

PREP法との違い

PREP法は、結論、理由、具体例、再結論の順で、主張をわかりやすく伝えるフレームワークです。

エレベーターピッチは、短時間で相手の関心を引き、次の対話につなげるための型です。PREP法は論理的に説明する場面に向いており、エレベーターピッチは短時間で魅力を伝える場面に向いています。

1枚企画書フレームとの違い

1枚企画書フレームは、背景、課題、提案、効果、スケジュールなどを1枚に整理するための型です。

エレベーターピッチは、企画書を見せる前や、会話の冒頭で短く説明するための型です。1枚企画書で内容を整理し、その要点をエレベーターピッチで話すと効果的です。

SDS法との違い

SDS法は、概要、詳細、まとめの順で情報を説明するフレームワークです。

エレベーターピッチは、詳細説明よりも、短時間で興味を持ってもらうことに重点があります。研修や解説にはSDS法、商談や提案のつかみにはエレベーターピッチが向いています。

ホールパート法との違い

ホールパート法は、全体像を示してから部分を説明し、最後に全体をまとめるフレームワークです。

エレベーターピッチは、全体像を長く説明するよりも、最も重要な価値に絞って短く伝える型です。体系的な説明にはホールパート法、短時間の提案にはエレベーターピッチが向いています。

STARとの違い

STARは、状況、課題、行動、結果の順で、自分の経験や実績を説明するフレームワークです。

エレベーターピッチは、自分や企画の価値を短く伝えるための型です。面接で実績を詳しく説明するならSTAR、自己紹介や最初の印象づけにはエレベーターピッチが使いやすいです。

エレベーターピッチはどんな場面で使うと効果的か

エレベーターピッチは、短時間で相手に興味を持ってもらいたい場面で効果的です。

具体的には、次のような場面で使えます。

・上司に企画を短く相談するとき
・会議の冒頭で提案概要を伝えるとき
・営業先で商品やサービスの価値を伝えるとき
・経営層に施策の必要性を説明するとき
・新規事業アイデアを紹介するとき
・交流会や展示会で自社を紹介するとき
・面接で自己紹介をするとき
・社内プロジェクトの参加者を募るとき
・研修やイベントの魅力を伝えるとき

特に、相手がまだ強い関心を持っていない段階では、エレベーターピッチが有効です。長い説明を始める前に、「これは自分に関係がありそうだ」と思ってもらうことが重要です。

まとめ

エレベーターピッチは、短時間で提案やアイデアの価値を伝えるためのフレームワークです。

仕事では、相手がいつも長い説明を聞いてくれるとは限りません。上司、顧客、経営層、関係部署などに対して、短い時間で関心を引き、次の対話につなげる力が必要です。

エレベーターピッチでは、相手の課題、提案内容、価値や効果、次の行動を短く整理します。大切なのは、自分が言いたいことを詰め込むのではなく、相手が「もっと聞きたい」と思う入口を作ることです。

次に企画や提案を伝えるときは、「誰の、どんな課題を、どのように解決し、次に何をしてほしいのか」を30秒で話せる形にしてみましょう。

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