新規事業を考えるときに、「アイデアはあるけれど形にならない」「面白そうだが、本当に成立するのかわからない」と感じることはないでしょうか。
新規事業は、思いつきだけで進めると空回りしやすく、逆に慎重になりすぎると何も始まらないことがあります。
そんなときに役立つのが、新規事業を考えるためのフレームワークです。
ただし、新規事業に使える型はいくつもあります。
ビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバス、デザイン思考、MVP、PoCはどれも有名ですが、初心者には違いがわかりにくいこともあります。名前だけ知っていても、どれを選べばよいかは意外と迷いやすいものです。
そこでこの記事では、新規事業を考えたいときに使いやすい代表的なフレームワークを整理しながら、それぞれの役割の違い、使い分け、初心者向けの選び方をやさしく解説します。
- 新規事業では何を整理すべきか
- 新規事業で使いやすい代表的なフレームワーク
- それぞれの違いと使い分け
- 初心者が最初に使うならどれがよいか
- 実務での組み合わせ方
最初から全部を覚える必要はありません。まずは「新規事業では何を見るのか」と「どれから使うか」がわかれば十分です。
新規事業を考えたいとき、まず何を整理すべきか
新規事業を考えたいとき、いきなり「このアイデアでいこう」と決めるとうまくいかないことがよくあります。
まず整理すべきなのは、次のような観点です。
- そもそも誰のどんな課題を解決するのか
- その価値は本当に必要とされるのか
- どうやって収益化するのか
- 最小限で何を試せるのか
- 本当に事業として成立しそうか
たとえば、社内の新サービスを考える場合でも、「便利そう」だけでは不十分です。誰が困っているのか、なぜ今必要なのか、どうやって提供するのか、どこまで確かめたのかが見えなければ、企画は進みにくくなります。
この段階を飛ばしてしまうと、フレームワークを使ってもアイデア整理だけで終わりやすくなります。
だからこそ、最初に「新規事業では何を見るべきか」を押さえることが重要です。
新規事業を考えたいときに使いやすいフレームワーク一覧
新規事業を考えたいときに、特に使いやすい代表的なフレームワークは次の5つです。
- ビジネスモデルキャンバス
- リーンキャンバス
- デザイン思考
- MVP
- PoC
この中で、どれが一番よいというより、新規事業のどの段階を整理したいかによって向いている型が違うと考えるのがポイントです。
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルキャンバスは、顧客、価値提案、収益、コスト、チャネル、主要活動などを1枚で整理する型です。
事業全体の構造を俯瞰したいときに向いています。
新規事業では、アイデア単体だけ見ていても、収益や提供方法とのつながりが見えにくくなります。ビジネスモデルキャンバスを使うと、価値提案から収益構造までを一枚で整理しやすくなります。
ビジネスモデルキャンバスが向いている場面
- 事業全体の構造を整理したいとき
- 関係者と全体像を共有したいとき
- 収益やチャネルまで含めて見たいとき
ビジネスモデルキャンバスが向いていない場面
- まず顧客課題だけを深く掘りたいとき
- 小さく試す方法を考えたいとき
リーンキャンバスとは
リーンキャンバスは、課題、顧客、独自価値、解決策、指標などを整理する型です。
特に、初期段階の仮説整理に向いています。
ビジネスモデルキャンバスよりも、課題と解決策の仮説に重心があり、スタートアップ的な新規事業との相性がよいのが特徴です。
リーンキャンバスが向いている場面
- 初期仮説を整理したいとき
- 誰のどんな課題かを明確にしたいとき
- 小さく始める前提で考えたいとき
リーンキャンバスが向いていない場面
- 既存事業を含めた全体構造を丁寧に整理したいとき
- 実験や検証の設計をそのまま進めたいとき
デザイン思考とは
デザイン思考は、相手の課題を深く理解し、発想し、試しながら解決策を磨く型です。
新規事業の中でも、特に課題発見やアイデア創出に向いています。
新規事業では、最初から答えを決め打ちすると、顧客が本当に困っていることとずれることがあります。デザイン思考を使うと、観察や共感を通じて、表面的ではない課題を見つけやすくなります。
デザイン思考が向いている場面
- 顧客課題を深く理解したいとき
- 新しい発想を広げたいとき
- 解決策を試しながら磨きたいとき
デザイン思考が向いていない場面
- 収益構造を整理したいとき
- 実験条件を明確にして検証だけ進めたいとき
MVPとは
MVPは、最小限の形で価値仮説を試す型です。
完璧な製品を作る前に、最低限の形で試したいときに向いています。
新規事業では、最初から完成品を作ると時間もコストもかかります。MVPを使うと、「本当に必要とされるか」を最小限の形で確かめやすくなります。
MVPが向いている場面
- 早く仮説検証したいとき
- 完成前に反応を見たいとき
- コストを抑えて試したいとき
MVPが向いていない場面
- そもそもの課題理解が浅いとき
- 技術成立性そのものを確かめたいとき
PoCとは
PoCは、概念実証として、本当に成立するかを確かめる型です。
特に技術、仕組み、運用面を含めて、実現可能性を検証したいときに向いています。
MVPが市場に対する最小の価値検証に向くのに対し、PoCは「そもそも実現できるのか」「想定通り動くのか」を見る場面で使いやすいです。
PoCが向いている場面
- 技術的な成立性を見たいとき
- 本番前に実現可能性を確認したいとき
- 社内承認のために検証結果を示したいとき
PoCが向いていない場面
- 顧客課題そのものを探りたいとき
- 事業全体の構造を整理したいとき
それぞれの違いを簡単に整理すると
ここまで紹介した5つの違いを、簡単にまとめると次のようになります。
- ビジネスモデルキャンバス → 事業全体の構造を見る
- リーンキャンバス → 初期仮説を整理する
- デザイン思考 → 課題発見と発想を深める
- MVP → 最小限で価値仮説を試す
- PoC → 実現可能性を検証する
このように、同じ「新規事業を考えたい」という用途でも、それぞれ役割が少しずつ違います。
初心者ならどれから使うべきか
初心者が最初に使うなら、まずはリーンキャンバスがおすすめです。
理由は、顧客課題、解決策、独自価値など、新規事業の初期仮説を一枚で整理しやすいからです。
いきなり大きなビジネスモデル全体を詰めるより、まずは「誰のどんな課題に何をぶつけるのか」を明確にしたほうが前に進みやすくなります。
そのうえで、課題を深く掘るならデザイン思考、全体構造を見るならビジネスモデルキャンバス、試すならMVP、実現性を確かめるならPoCへ広げていくと使いやすいです。
迷ったら、まずはリーンキャンバスから始めるのがおすすめです。
実務でのおすすめの組み合わせ
実務では、フレームワークは1つだけで使うより、組み合わせたほうが力を発揮しやすいです。
たとえば、新規事業なら次のような組み合わせが考えられます。
パターン1
- デザイン思考で課題を深く理解する
- リーンキャンバスで仮説を整理する
- MVPで小さく試す
パターン2
- リーンキャンバスで初期仮説をまとめる
- PoCで技術や仕組みを検証する
- ビジネスモデルキャンバスで全体構造を整える
パターン3
- デザイン思考で発想を広げる
- MVPで市場反応を確かめる
- PoCで実現可能性を詰める
このように、
課題理解 → 仮説整理 → 小さく検証 → 実現可能性確認 → 全体設計
の流れで組み合わせると使いやすくなります。
新規事業でフレームワークを使うときの注意点
注意
フレームワークは便利ですが、きれいなシートを作ることが目的になると、新規事業は前に進みにくくなります。
新規事業でよくある失敗は、次のようなものです。
- アイデア整理だけで満足する
- 顧客課題を十分に見ない
- 検証せずに作り込みすぎる
- 小さく試さずに大きく始めようとする
特に初心者は、「まず完璧な案を作らなければ」と考えがちですが、そうではありません。大切なのは、仮説を持って、早く、小さく、学びながら進めることです。
まとめ
新規事業を考えたいときに使うフレームワークはいくつかありますが、最初からすべてを使いこなす必要はありません。
大切なのは、新規事業のどの段階を整理したいのかをはっきりさせ、その目的に合った型を選ぶことです。
今回紹介したように、
- ビジネスモデルキャンバスは全体構造を見る
- リーンキャンバスは初期仮説を整理する
- デザイン思考は課題発見と発想を深める
- MVPは最小限で試す
- PoCは実現可能性を確かめる
という違いがあります。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずはリーンキャンバスから使ってみてください。
大切なのは、きれいに整理することではなく、顧客課題と価値仮説を前に進めることです。
まずは身近なテーマで1回試してみてください。社内新サービス、教育施策の新メニュー、業務支援ツールなど、小さなテーマでも十分です。
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新規事業だけでなく、その前後で使う型も一緒に知っておくと、実務でさらに使いやすくなります。