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人事、組織開発、人材育成の仕事では、「社員をどう育てるか」「組織の方向性をどう共有するか」「管理職にどのような力を求めるか」「チームの状態をどう改善するか」といった悩みが出てきます。
人に関わるテーマは、数字や手順だけでは整理しにくいものです。
本人の希望、能力、組織からの期待、職場環境、上司との関係、チームの状態、学習機会、評価制度など、多くの要素が関係します。
そこで役立つのが、人事・組織・人材育成で使えるフレームワークです。
フレームワークを使うと、抽象的になりがちな人材や組織の課題を整理しやすくなります。
たとえば、MVVを使えば組織の方向性を整理できます。
Will / Can / Mustを使えば、本人の希望と組織期待をすり合わせやすくなります。
9ボックスを使えば、成果とポテンシャルから人材を整理できます。
心理的安全性やタックマンモデルを使えば、チームの状態を理解しやすくなります。
この記事では、人事・組織・人材育成で使える代表的なフレームワークを、初心者向けに目的別で整理して紹介します。
この記事でわかること
- 人事・組織・人材育成で使うフレームワークの全体像
- 組織方針や価値観を整理するフレームワーク
- 人材育成やキャリア開発で使うフレームワーク
- 評価やタレントマネジメントで使うフレームワーク
- 研修設計や効果測定で使うフレームワーク
- チーム開発やリーダーシップで使うフレームワーク
最初からすべてを覚える必要はありません。まずは「組織の方向性をそろえる」「人材を育てる」「評価する」「研修を設計する」「チームをよくする」という目的別に整理すると理解しやすくなります。
人事・組織・人材育成のフレームワークとは?
人事・組織・人材育成のフレームワークとは、人や組織に関する課題を整理し、育成、評価、配置、組織改善、マネジメントにつなげるための考え方の型です。
人事や組織開発では、次のような課題がよく出てきます。
- 組織の方向性が社員に伝わらない
- 社員のキャリア希望が見えにくい
- 管理職に必要な能力が整理できない
- 目標管理が形だけになっている
- 人材評価や配置の基準があいまい
- 研修を実施しても現場で行動が変わらない
- チーム内で意見が出にくい
- 管理職のリーダーシップにばらつきがある
このような課題は、感覚だけで扱うと属人的になりやすくなります。
そこで、フレームワークを使って、課題を整理し、関係者が共通の言葉で話せるようにします。
人事・組織・人材育成のフレームワークは、人事部門だけのものではありません。
管理職、チームリーダー、研修担当者、プロジェクトリーダー、経営層、部門長など、組織で人を育てる立場の人すべてに役立ちます。
人事・組織・人材育成でフレームワークを使うメリット
人事・組織・人材育成でフレームワークを使うメリットは、見えにくい課題を整理しやすくなることです。
人や組織の課題は、単純ではありません。
たとえば、「若手社員の元気がない」という問題があったとします。
その原因は、成長実感の不足かもしれません。
上司との関係かもしれません。
業務量の多さかもしれません。
組織の方向性が見えないことかもしれません。
本人のWillと現在の役割が合っていないことかもしれません。
フレームワークを使うと、こうした課題を分解し、どこに手を打つべきかを考えやすくなります。
主なメリットは、次の通りです。
- 組織課題を整理しやすい
- 人材育成の方針を考えやすい
- 評価や配置の基準を説明しやすい
- 管理職の育成テーマを明確にしやすい
- 研修設計や効果測定に使いやすい
- チーム状態を把握しやすい
- 関係者と共通言語を持ちやすい
人事や組織開発では、正解を一つに決めることは難しいです。
しかし、フレームワークを使えば、考える順番や視点をそろえることができます。
組織の方向性をそろえるフレームワーク
人事・組織開発では、まず組織として何を目指すのかを明確にすることが重要です。
組織の方向性があいまいなままでは、採用、育成、評価、配置、研修の軸もぶれやすくなります。
この領域で代表的なのが、MVVです。
MVV
MVVは、Mission、Vision、Valueの3つで、組織の存在意義、目指す未来、大切にする価値観を整理するフレームワークです。
Missionは、組織が何のために存在するのかを示します。
Visionは、将来どのような姿を目指すのかを示します。
Valueは、日々の行動で何を大切にするのかを示します。
MVVが向いている場面は、次の通りです。
- 組織の方向性を明確にしたい
- 人材育成方針を作りたい
- 採用メッセージを整えたい
- 評価制度や行動指針を見直したい
- 組織文化を言語化したい
MVVは、組織づくりの土台になるフレームワークです。
OKR、KPI、MBOなどの目標管理を考える前に、上位概念として整理しておくと効果的です。
キャリア開発や人材育成で使うフレームワーク
人材育成では、本人の希望、能力、組織期待を整理することが重要です。
また、階層や職種によって求められる能力も変わります。
この領域では、Will / Can / Must、カッツモデル、コンピテンシーモデル、70:20:10などが役立ちます。
Will / Can / Must
Will / Can / Mustは、本人のやりたいこと、できること、組織から求められていることを整理するフレームワークです。
Willは、本人の希望や興味です。
Canは、本人の能力、経験、強みです。
Mustは、組織や上司から期待されている役割です。
Will / Can / Mustが向いている場面は、次の通りです。
- キャリア面談を行う
- 1on1で成長テーマを話す
- 人材育成計画を作る
- 配置や異動を検討する
- 目標設定の納得感を高める
本人の希望だけでも、組織の期待だけでも、育成はうまくいきにくくなります。
Will、Can、Mustの重なりを探すことで、本人にとっても組織にとっても意味のある育成テーマを考えやすくなります。
カッツモデル
カッツモデルは、仕事に必要な能力を、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つで整理するフレームワークです。
テクニカルスキルは、業務を遂行するための専門知識や技術です。
ヒューマンスキルは、人と関わり、協力し、調整する力です。
コンセプチュアルスキルは、物事の全体像や本質を捉える力です。
カッツモデルが向いている場面は、次の通りです。
- 階層別研修を設計する
- 若手、中堅、管理職に求める能力を整理する
- 管理職育成のテーマを考える
- 評価項目や昇格要件を整理する
- キャリア開発の方向性を考える
若手ではテクニカルスキルの比重が高くなり、管理職や経営層に近づくほどコンセプチュアルスキルの重要性が高まります。
階層別育成を考えるときに使いやすいフレームワークです。
コンピテンシーモデル
コンピテンシーモデルは、高い成果を出している人に共通する行動特性を整理するフレームワークです。
単に「主体性」「リーダーシップ」「問題解決力」といった抽象語で終わらせず、成果につながる具体的な行動として整理します。
コンピテンシーモデルが向いている場面は、次の通りです。
- 高成果者の行動特性を整理する
- 評価基準を具体化する
- 育成テーマを明確にする
- 採用面接の評価軸を作る
- 昇格要件を整理する
コンピテンシーモデルは、評価や育成を行動レベルに落とし込みたいときに役立ちます。
カッツモデルで能力分類を整理し、コンピテンシーモデルで具体行動に落とし込むと、実務に使いやすくなります。
70:20:10
70:20:10は、人の学びを、仕事上の経験、他者からの学び、研修による学びの3つで整理するフレームワークです。
70は、実務経験からの学びです。
20は、上司、先輩、同僚、メンターなど他者からの学びです。
10は、研修、講座、読書、eラーニングなど体系的な学習からの学びです。
70:20:10が向いている場面は、次の通りです。
- 研修を現場実践につなげたい
- OJTを強化したい
- 管理職育成を設計したい
- 若手社員の成長支援を考える
- 経験学習を促したい
人材育成は、研修だけでは完結しません。
経験、フィードバック、学習を組み合わせることで、現場で使える力につながりやすくなります。
目標管理や指標管理で使うフレームワーク
組織や人材育成では、目標を設定し、進捗を確認し、成果につなげることが重要です。
この領域では、MBO、OKR、KPI / KGIが代表的です。
MBO
MBOは、Management by Objectivesの略で、日本語では目標管理と呼ばれます。
上司と部下が目標をすり合わせ、本人が主体的に成果を目指すためのフレームワークです。
MBOが向いている場面は、次の通りです。
- 個人目標を設定する
- 人事評価と目標を結びつける
- 上司と部下の期待値をすり合わせる
- 組織目標を個人の行動に落とし込む
- 1on1や評価面談を充実させる
MBOは、評価や育成と個人目標をつなぐ場面で使いやすいフレームワークです。
ただし、期初に目標を書いて期末に評価するだけでは形骸化します。
期中の進捗確認と支援が重要です。
OKR
OKRは、Objectives and Key Resultsの略で、目標と主要な成果をセットで管理するフレームワークです。
Objectiveは、目指す姿や方向性です。
Key Resultsは、その目標に近づいているかを確認するための具体的な成果指標です。
OKRが向いている場面は、次の通りです。
- 組織全体の方向性をそろえる
- 挑戦的な目標を設定する
- 部門横断プロジェクトを進める
- 経営方針をチーム目標に落とし込む
- メンバーの主体性を高める
OKRは、組織やチームの挑戦目標を共有するのに向いています。
人事評価と強く結びつけすぎると、無難な目標になりやすいため注意が必要です。
KPI / KGI
KPI / KGIは、目標達成度や進捗を管理するための指標です。
KGIは、最終的に達成したいゴールを表す指標です。
KPIは、そのゴールに向かう途中で確認する重要なプロセス指標です。
KPI / KGIが向いている場面は、次の通りです。
- 目標達成までの進捗を見える化する
- 組織目標を現場行動に落とし込む
- 人材育成や研修効果を確認する
- 営業、採用、マーケティングのプロセスを改善する
- OKRやMBOを運用する
KGIだけでは途中の進捗が見えにくく、KPIだけでは最終的な成果が見えにくくなります。
KPIとKGIはセットで考えることが大切です。
評価・配置・タレントマネジメントで使うフレームワーク
人材を育成するには、現在の成果、将来性、行動特性、周囲からの見え方を整理することが重要です。
この領域では、9ボックス、360度評価、コンピテンシーモデルが役立ちます。
9ボックス
9ボックスは、成果とポテンシャルの2軸で人材を9つの領域に分類するフレームワークです。
成果は、現在の役割においてどの程度成果を出しているかです。
ポテンシャルは、将来より大きな役割や新しい領域で活躍できる可能性です。
9ボックスが向いている場面は、次の通りです。
- 次世代リーダー候補を見つける
- 管理職候補を整理する
- 人材育成の優先順位を決める
- 配置や異動を検討する
- 後継者育成を進める
9ボックスは、人材を固定的にラベルづけするためではなく、育成や配置の方針を考えるために使います。
定期的に見直し、本人の成長や環境変化を反映することが大切です。
360度評価
360度評価は、上司、同僚、部下、関係者など複数の視点から、本人の行動を評価・フィードバックする方法です。
上司だけでは見えにくい行動を把握できる点が特徴です。
360度評価が向いている場面は、次の通りです。
- 管理職の行動改善を行う
- リーダーシップ開発を行う
- 自己認識と周囲の認識のズレを知る
- コンピテンシー評価を補完する
- 育成面談や1on1の材料を作る
360度評価は、いきなり処遇評価に直結させるよりも、まず育成目的で使うほうが安全です。
心理的安全性や匿名性にも配慮が必要です。
研修設計と効果測定で使うフレームワーク
人材育成では、研修を実施するだけでなく、目的に沿って設計し、効果を確認することが重要です。
この領域では、ADDIEとKirkpatrickモデルが代表的です。
ADDIE
ADDIEは、Analyze、Design、Develop、Implement、Evaluateの流れで、研修や教育プログラムを設計するフレームワークです。
Analyzeでは、受講者や課題を分析します。
Designでは、学習目標や研修構成を設計します。
Developでは、教材や演習を作ります。
Implementでは、研修を実施します。
Evaluateでは、効果を確認し、改善につなげます。
ADDIEが向いている場面は、次の通りです。
- 社内研修を新しく作る
- eラーニング教材を作る
- 既存研修を見直す
- 新入社員教育や管理職研修を設計する
- OJT教材やマニュアルを整備する
ADDIEを使うと、いきなり教材を作るのではなく、受講者や目的に合った研修を設計しやすくなります。
Kirkpatrickモデル
Kirkpatrickモデルは、研修効果を、反応、学習、行動、成果の4段階で評価するフレームワークです。
反応は、受講者が研修をどう感じたかです。
学習は、知識やスキルが身についたかです。
行動は、研修後に現場で行動が変わったかです。
成果は、業務や組織の成果につながったかです。
Kirkpatrickモデルが向いている場面は、次の通りです。
- 研修効果を測定する
- 研修後アンケートだけでは不十分だと感じる
- 研修を現場行動につなげる
- 管理職研修や階層別研修を評価する
- 経営層に研修成果を説明する
研修満足度だけでは、実務への効果はわかりません。
Kirkpatrickモデルを使うと、学習、行動、成果まで視野を広げて評価できます。
組織状態やモチベーションを理解するフレームワーク
組織開発では、社員のエンゲージメント、モチベーション、心理的安全性、欲求を理解することが重要です。
この領域では、エンゲージメントモデル、ハーズバーグの二要因理論、マズローの欲求階層、心理的安全性が役立ちます。
エンゲージメントモデル
エンゲージメントモデルは、社員が組織や仕事にどの程度前向きに関わっているかを整理するフレームワークです。
仕事のやりがい、組織への共感、上司との関係、成長実感、心理的安全性、貢献実感などを見ます。
エンゲージメントモデルが向いている場面は、次の通りです。
- 社員の組織への関与度を把握する
- 離職やモチベーション低下の原因を探る
- 組織サーベイを設計する
- 管理職のマネジメント改善につなげる
- 社員の働きがいや成長実感を高める
エンゲージメントは、単なる満足度ではありません。
組織や仕事に前向きに関わり、貢献したいと思えている状態を見ることが重要です。
ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの二要因理論は、仕事の満足と不満足を、動機づけ要因と衛生要因に分けて考える理論です。
動機づけ要因は、達成感、承認、責任、成長、仕事そのものの面白さなどです。
衛生要因は、給与、労働条件、職場環境、人間関係、会社方針、上司との関係などです。
ハーズバーグの二要因理論が向いている場面は、次の通りです。
- 社員のモチベーションを高める
- 職場不満の原因を整理する
- エンゲージメントサーベイの結果を分析する
- 離職防止策を考える
- 働きがいのある職場を作る
不満を減らすことと、やる気を高めることは同じではありません。
衛生要因を整えたうえで、動機づけ要因を高めることが大切です。
マズローの欲求階層
マズローの欲求階層は、人間の欲求を、生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の5段階で整理するフレームワークです。
マズローの欲求階層が向いている場面は、次の通りです。
- 社員のモチベーションを理解する
- 若手社員の離職防止を考える
- 職場不満の背景を整理する
- 承認や成長機会を設計する
- 管理職のマネジメントを改善する
社員のやる気を、単純に「ある、ない」で見るのではなく、どの欲求が満たされているか、どの欲求に課題があるかを見ることが大切です。
心理的安全性
心理的安全性とは、チームの中で、意見、質問、相談、失敗、違和感を安心して共有できる状態です。
心理的安全性が向いている場面は、次の通りです。
- 会議で意見が出ない
- 若手が質問しにくい
- ミスやトラブルの報告が遅い
- 改善提案が少ない
- チーム内に本音が出にくい
- エンゲージメントを高めたい
心理的安全性は、仲良し職場を作ることではありません。
安心して発言できるからこそ、問題を指摘し、改善し、高い成果を目指すことができます。
チーム開発で使うフレームワーク
組織やチームは、メンバーを集めただけで機能するわけではありません。
チームの成長段階、役割バランス、相互理解を整理する必要があります。
この領域では、タックマンモデル、Belbin Team Roles、ジョハリの窓が役立ちます。
タックマンモデル
タックマンモデルは、チームの発達段階を、形成期、混乱期、統一期、機能期、散会期の5段階で整理するフレームワークです。
形成期では、メンバーが集まり、互いに様子を見ます。
混乱期では、意見の違いや役割のあいまいさから対立が生まれます。
統一期では、ルールや役割が整います。
機能期では、チームが自律的に成果を出せるようになります。
散会期では、チーム活動に区切りをつけます。
タックマンモデルが向いている場面は、次の通りです。
- 新しいチームを立ち上げる
- 部門横断プロジェクトを進める
- チーム内の対立や混乱を理解する
- チームビルディングを行う
- プロジェクト終了時に振り返る
混乱期は失敗ではなく、チームが成長する過程として捉えることが大切です。
Belbin Team Roles
Belbin Team Rolesは、チーム内でメンバーが担う役割を整理するフレームワークです。
チームには、アイデアを出す人、外部とつながる人、まとめる人、前に進める人、冷静に評価する人、関係性を支える人、実行する人、仕上げる人、専門性で支える人など、さまざまな役割が必要です。
Belbin Team Rolesが向いている場面は、次の通りです。
- 新しいチームを編成する
- プロジェクトメンバーを選ぶ
- チームの役割分担を見直す
- チーム内の強みを活かす
- 会議や意思決定の偏りを改善する
チームの成果は、個人能力の合計だけで決まるわけではありません。
必要な役割がそろっているかを見ることが大切です。
ジョハリの窓
ジョハリの窓は、自分が知っている自分と、他者が知っている自分を組み合わせて、自己理解と他者理解を深めるフレームワークです。
開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓の4つで整理します。
ジョハリの窓が向いている場面は、次の通りです。
- 自己理解を深める
- 他者から見た自分を知る
- チームビルディングを行う
- 1on1やキャリア面談を充実させる
- フィードバック文化を育てる
ジョハリの窓は、自己開示とフィードバックによって、チーム内の信頼関係を高めるときに役立ちます。
リーダーシップや管理職育成で使うフレームワーク
管理職やリーダーには、部下の状態に応じて関わる力、成果と関係性を両立する力が求められます。
この領域では、SL理論とPM理論が代表的です。
SL理論
SL理論は、Situational Leadershipの略で、部下の成熟度や状況に応じて、リーダーシップスタイルを変える理論です。
代表的には、指示型、コーチ型、支援型、委任型で整理します。
SL理論が向いている場面は、次の通りです。
- 新入社員や若手を育成する
- 部下に新しい仕事を任せる
- OJTを設計する
- 指示と委任のバランスを考える
- 部下の自律性を高める
同じ部下でも、仕事によって成熟度は変わります。
日常業務では委任できる人でも、新しい業務では支援やコーチングが必要になる場合があります。
PM理論
PM理論は、リーダーシップをPerformanceとMaintenanceの2軸で整理するフレームワークです。
Performanceは、目標達成機能です。
Maintenanceは、集団維持機能です。
PM理論が向いている場面は、次の通りです。
- 管理職のリーダーシップを振り返る
- チームの成果と関係性のバランスを見る
- 管理職研修を設計する
- 成果は出ているがメンバーが疲弊している
- 雰囲気はよいが目標達成が弱い
成果を出す力と、チームを維持する力の両方が必要です。
Pだけが強いと疲弊し、Mだけが強いと成果が弱くなりやすいため、バランスが大切です。
目的別のおすすめフレームワーク
人事・組織・人材育成のフレームワークは、目的に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、よくある目的別に使いやすいフレームワークを整理します。
組織の方向性を整理したいとき
組織の存在意義、目指す姿、価値観を整理したい場合は、MVVが使いやすいです。
MVVを整理したうえで、OKRやKPI / KGIに落とし込むと、方向性と目標管理がつながります。
おすすめは次の通りです。
- MVV
- OKR
- KPI / KGI
キャリア面談や育成計画を作りたいとき
本人の希望、能力、組織期待をすり合わせたい場合は、Will / Can / Mustが使いやすいです。
必要な能力を整理するならカッツモデル、具体行動に落とすならコンピテンシーモデルが役立ちます。
おすすめは次の通りです。
- Will / Can / Must
- カッツモデル
- コンピテンシーモデル
管理職育成を考えたいとき
管理職に必要な能力やリーダーシップを整理したい場合は、カッツモデル、SL理論、PM理論が役立ちます。
管理職の行動を多面的に見るなら、360度評価も使いやすいです。
おすすめは次の通りです。
- カッツモデル
- SL理論
- PM理論
- 360度評価
人材配置や後継者育成を考えたいとき
成果と将来性を分けて人材を整理したい場合は、9ボックスが向いています。
具体的な育成テーマを考えるときは、Will / Can / Mustやコンピテンシーモデルを組み合わせます。
おすすめは次の通りです。
- 9ボックス
- Will / Can / Must
- コンピテンシーモデル
研修を設計したいとき
研修やeラーニングを設計する場合は、ADDIEが基本になります。
研修を現場経験やOJTとつなげたい場合は70:20:10、効果測定にはKirkpatrickモデルが役立ちます。
おすすめは次の通りです。
- ADDIE
- 70:20:10
- Kirkpatrickモデル
組織状態やモチベーションを見たいとき
社員の状態、働きがい、不満、モチベーションを整理したい場合は、エンゲージメントモデル、ハーズバーグの二要因理論、マズローの欲求階層が使いやすいです。
安心して意見を出せる職場を作りたい場合は、心理的安全性が重要です。
おすすめは次の通りです。
- エンゲージメントモデル
- ハーズバーグの二要因理論
- マズローの欲求階層
- 心理的安全性
チームビルディングをしたいとき
チームの成長段階を見たい場合は、タックマンモデルが使いやすいです。
役割分担や強みのバランスを見るならBelbin Team Roles、自己理解と他者理解を深めるならジョハリの窓が役立ちます。
おすすめは次の通りです。
- タックマンモデル
- Belbin Team Roles
- ジョハリの窓
- 心理的安全性
初心者はどれから学べばよいか
初心者が最初に学ぶなら、まずはMVV、Will / Can / Must、カッツモデル、心理的安全性、PM理論から始めるのがおすすめです。
理由は、人事・組織・人材育成の基本的な視点を幅広く押さえられるからです。
最初の学習順は、次のように考えるとよいでしょう。
- MVVで組織の方向性を理解する
- Will / Can / Mustで個人の育成テーマを整理する
- カッツモデルで階層別に必要な能力を理解する
- 心理的安全性でチームの土台を理解する
- PM理論でリーダーシップの基本を理解する
研修担当者であれば、ADDIE、70:20:10、Kirkpatrickモデルも早めに学ぶと実務に役立ちます。
管理職育成を担当する場合は、SL理論、PM理論、360度評価、コンピテンシーモデルが使いやすいです。
タレントマネジメントを扱う場合は、9ボックス、コンピテンシーモデル、Will / Can / Mustを組み合わせるとよいでしょう。
よくある失敗例
人事・組織・人材育成のフレームワークを使うときによくある失敗は、フレームワークを制度や表の作成だけで終わらせてしまうことです。
たとえば、MVVを作って掲げるだけ。
MBOシートを書いて期末まで放置する。
9ボックスで人材を分類して終わる。
研修を実施してアンケートだけで満足する。
心理的安全性を「仲良し職場」と誤解する。
このような使い方では、実際の組織改善にはつながりにくくなります。
よくある失敗は、次の通りです。
- フレームワークを使うこと自体が目的になる
- 現場の実態を見ていない
- 人を固定的に分類する
- 評価や育成に落とし込まない
- 上司や現場管理職を巻き込まない
- 数値や表だけで判断する
- 継続的な見直しをしない
フレームワークは、人や組織を機械的に分類するためのものではありません。
対話、育成、支援、改善につなげるための道具として使うことが大切です。
人事・組織・人材育成フレームワークの使い分け
人事・組織・人材育成のフレームワークは、単独で使うよりも、組み合わせると効果的です。
たとえば、人材育成体系を作る場合は、まずMVVで組織の方向性を確認します。
次に、カッツモデルで階層ごとに必要な能力を整理します。
コンピテンシーモデルで求める行動を具体化します。
Will / Can / Mustで個人ごとの育成テーマを設定します。
70:20:10で、経験、他者支援、研修を組み合わせます。
ADDIEで研修を設計し、Kirkpatrickモデルで効果を測定します。
管理職育成では、PM理論で成果と関係性のバランスを見て、SL理論で部下ごとの関わり方を考えます。
360度評価で周囲からのフィードバックを得て、1on1で行動改善につなげます。
チーム開発では、タックマンモデルでチームの成長段階を見て、Belbin Team Rolesで役割バランスを整理し、心理的安全性で発言しやすい土台を作ります。
このように、目的ごとにフレームワークを組み合わせると、実務で使いやすくなります。
まとめ
人事・組織・人材育成で使うフレームワークは、人や組織に関する課題を整理し、育成、評価、配置、研修、チーム開発、マネジメントにつなげるための道具です。
MVVは、組織の存在意義、目指す姿、価値観を整理するために使います。
Will / Can / Mustは、本人の希望、能力、組織期待を整理するために使います。
カッツモデルやコンピテンシーモデルは、必要な能力や行動特性を整理するために使います。
MBO、OKR、KPI / KGIは、目標や指標を管理するために使います。
9ボックスや360度評価は、人材の配置、育成、行動改善に役立ちます。
ADDIE、70:20:10、Kirkpatrickモデルは、研修設計や育成効果の確認に使えます。
心理的安全性、タックマンモデル、Belbin Team Roles、ジョハリの窓は、チーム開発や相互理解に役立ちます。
SL理論とPM理論は、管理職やリーダーのマネジメントを考えるときに使いやすいフレームワークです。
大切なのは、フレームワークを覚えることではありません。
自分の組織やチームで、いま何を解決したいのかを明確にし、その目的に合ったフレームワークを選ぶことです。
まずは、身近なチームや部下について、「方向性は共有されているか」「本人の希望と組織期待は合っているか」「安心して発言できるか」「管理職の関わり方は適切か」を考えてみましょう。
そこから、人事・組織・人材育成の改善が始まります。
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