組織やチームの目標を管理するとき、「何を指標にすればよいかわからない」「売上目標はあるけれど、日々何を見ればよいかわからない」「KPIとKGIの違いがあいまい」と感じることはないでしょうか。
目標管理では、最終的に達成したいゴールだけを決めても、日々の行動につながりにくいことがあります。
一方で、細かい数字ばかり追いかけても、それが最終成果につながっていなければ意味がありません。
そんなときに役立つのが、KPI / KGIです。
KGIは、最終的に達成したい重要な目標を示す指標です。
KPIは、そのKGIに向かう途中で確認する重要なプロセス指標です。
人事、組織開発、営業、マーケティング、業務改善、人材育成など、さまざまな分野で使われます。
この記事では、KPI / KGIの意味、違い、使い方、具体例、注意点までを、初心者向けにやさしく整理して解説します。
この記事でわかること
- KPI / KGIとは何か
- KPIとKGIの違い
- KPI / KGIは何に使うのか
- KPI / KGIの使い方
- KPI / KGIの具体例
- 関連フレームワークとの違い
最初から難しい指標設計をする必要はありません。まずは「KGIは最終ゴール、KPIはそこに向かう途中の重要指標だ」とつかめれば十分です。
KPI / KGIとは?
KPI / KGIとは、組織やチームの目標達成度を測るための指標です。
KGIは、Key Goal Indicatorの略です。
日本語では、重要目標達成指標と呼ばれます。
KPIは、Key Performance Indicatorの略です。
日本語では、重要業績評価指標と呼ばれます。
やさしく言うと、KGIは「最終的に達成したいゴールを表す数字」です。
KPIは「そのゴールに近づいているかを途中で確認する数字」です。
たとえば、人材育成で「若手社員の実務力を高める」という目標があるとします。
KGIとしては、「研修後の実務活用率を80%以上にする」「若手社員のスキル評価平均を4.0以上にする」などが考えられます。
KPIとしては、「研修参加率」「課題提出率」「1on1実施率」「実践レポート提出数」などが考えられます。
このように、KGIとKPIを分けて考えることで、最終成果と日々の行動をつなげやすくなります。
一言でいうと、KPI / KGIは、目標を数字で管理し、行動と成果をつなげるためのフレームワークです。
KPI / KGIは何に使うのか
KPI / KGIは、目標の達成度や進捗を確認するために使います。
特に、組織目標を具体的な行動や管理指標に落とし込みたいときに役立ちます。
KPI / KGIは、次のような場面で活用できます。
- 組織目標を数値で管理したいとき
- チームの進捗を見える化したいとき
- 目標と日々の行動をつなげたいとき
- 人材育成や研修の効果を測りたいとき
- 営業やマーケティングの成果を管理したいとき
- 業務改善の進捗を確認したいとき
- OKRやMBOの達成度を測りたいとき
たとえば、営業部門で「売上1億円」という目標がある場合、それはKGIです。
しかし、売上だけを見ていても、期末になるまで達成できるかどうかがわかりにくいことがあります。
そこで、商談件数、提案件数、見積提出数、受注率、平均単価などをKPIとして設定します。
KPIを見ることで、売上目標に向かって順調に進んでいるかを途中で確認できます。
どんな人に向いているか
KPI / KGIが向いているのは、次のような人です。
- 目標管理を行う管理職
- 人事評価や人材育成を担当する人
- 組織開発や研修効果を測りたい人
- 営業やマーケティングの成果を管理する人
- 業務改善の進捗を確認したい人
- OKRやMBOを運用する人
- チームの行動を成果につなげたい人
KPI / KGIは、経営管理だけでなく、現場の業務改善や人材育成にも使いやすいフレームワークです。
KPIとKGIの違い
KPIとKGIの違いは、最終目標を見るか、途中のプロセスを見るかです。
KGIは、最終的に達成したい成果を示します。
KPIは、その成果に向かう途中の重要な活動や状態を示します。
たとえば、採用活動で考えると、KGIは「必要人材を10名採用する」かもしれません。
KPIは、「応募者数」「面接実施数」「内定承諾率」「採用単価」「面接設定率」などになります。
人材育成で考えると、KGIは「研修後に実務で活用した社員割合を80%にする」かもしれません。
KPIは、「研修参加率」「課題提出率」「上司との振り返り面談実施率」「実践事例提出数」などです。
KGIだけでは、途中の動きが見えにくくなります。
KPIだけでは、最終的に何を達成したいのかが見えにくくなります。
そのため、KGIとKPIはセットで考えることが大切です。
KPI / KGIの基本的な考え方
KPI / KGIの基本的な考え方は、目標を「最終成果」と「途中指標」に分けて管理することです。
仕事では、最終成果が出るまでに時間がかかることがあります。
たとえば、人材育成の成果は、研修を実施してすぐに表れるとは限りません。
営業成果も、商談を始めてから受注まで時間がかかることがあります。
業務改善でも、改善策を実行してから効果が見えるまで時間が必要です。
このような場合、最終成果だけを見ていると、途中で問題に気づきにくくなります。
そこで、KPIを設定します。
KPIを見ることで、KGIに向かって進んでいるかを早めに確認できます。
ただし、KPIは何でも設定すればよいわけではありません。
KGIにつながる重要な指標である必要があります。
たとえば、研修のKPIとして「参加者数」だけを見ると、参加は増えても実務活用につながっていない可能性があります。
その場合は、「研修後の実践課題提出率」や「上司との振り返り実施率」など、実務活用につながる指標も考える必要があります。
KPI / KGIでは、数字を管理することよりも、成果につながる行動を見える化することが大切です。
KPI / KGIの使い方
KPI / KGIは、次の流れで使うとわかりやすいです。
手順1 最終的なゴールを決める
まず、最終的に達成したいゴールを決めます。
これがKGIになります。
KGIを考えるときは、次のような問いが役立ちます。
- 最終的に何を達成したいのか
- 成果を何で判断するのか
- いつまでに達成したいのか
- どの程度達成すれば成功と言えるのか
- 組織目標や事業目標とつながっているか
たとえば、人材育成であれば、「研修を実施する」こと自体はKGIとしては弱いです。
研修の目的が実務力向上なら、「受講者の実務活用率」「スキル評価の向上」「現場での改善提案数」などをKGIにしたほうが成果に近くなります。
手順2 KGIにつながるプロセスを整理する
次に、KGIに至るまでのプロセスを整理します。
最終成果は、いきなり生まれるものではありません。
そこに至るまでの行動や中間成果があります。
たとえば、採用であれば、認知、応募、書類選考、面接、内定、承諾、入社という流れがあります。
営業であれば、リード獲得、商談、提案、見積、受注という流れがあります。
人材育成であれば、参加、学習、理解、実践、振り返り、行動変容という流れがあります。
このプロセスを整理することで、どこをKPIとして見るべきかが見えやすくなります。
手順3 KPIを設定する
プロセスを整理したら、KGIに影響する重要なKPIを設定します。
KPIは、多すぎると管理しにくくなります。
重要なものに絞ることが大切です。
KPIを考えるときは、次のような問いが役立ちます。
- この指標はKGIにつながっているか
- 途中で進捗を確認できるか
- 行動改善につながる指標か
- 測定できるか
- 担当者が影響を与えられる指標か
- 多すぎないか
たとえば、人材育成では、参加率だけでなく、課題提出率、実践率、上司面談実施率などをKPIにできます。
ただし、すべてを追うと現場負担が大きくなるため、目的に合う指標に絞ります。
手順4 定期的に確認する
KPI / KGIは、設定して終わりではありません。
定期的に確認することが重要です。
たとえば、月次、四半期、半期などで、KPIの進捗を確認します。
確認するときは、単に数字を見るだけではなく、次のような問いを使います。
- KPIは目標に対して順調か
- どこで停滞しているか
- KGIに近づいているか
- 数字が悪い原因は何か
- 行動を変える必要があるか
- 指標そのものを見直す必要があるか
KPIが悪い場合は、早めに対策できます。
KPIが良いのにKGIが改善しない場合は、KPIの設定が間違っている可能性もあります。
手順5 必要に応じて指標を見直す
最後に、KPI / KGIを必要に応じて見直します。
一度決めた指標が、いつまでも正しいとは限りません。
事業環境、組織課題、施策の進み具合によって、見るべき指標は変わることがあります。
たとえば、研修の初期段階では参加率が重要かもしれません。
しかし、参加が定着した後は、実務活用率や行動変容に重点を移す必要があります。
KPI / KGIは、固定された数字ではなく、目標達成のために使う管理ツールです。
KPI / KGIの具体例
ここでは、「人材育成施策」を例に、KPI / KGIの使い方を見てみます。
例 人材育成施策でKPI / KGIを使う場合
前提として、若手社員の実務力を高めるために、社内研修を強化するとします。
まず、KGIを設定します。
たとえば、次のようなKGIが考えられます。
- 若手社員の実務スキル評価平均を4.0以上にする
- 研修後3か月以内の実務活用率を80%以上にする
- 若手社員による改善提案件数を年間50件にする
次に、KGIにつながるプロセスを整理します。
研修を知る、参加する、理解する、課題に取り組む、現場で実践する、上司と振り返る、行動が定着する、という流れが考えられます。
このプロセスに対して、KPIを設定します。
たとえば、次のようなKPIがあります。
- 研修参加率
- 研修完了率
- 理解度テスト平均点
- 実践課題提出率
- 上司との振り返り面談実施率
- 実務活用事例数
このように整理すると、単に研修を実施したかどうかではなく、実務で成果につながっているかを確認しやすくなります。
別の例 採用活動でKPI / KGIを使う場合
採用活動でも、KPI / KGIはよく使われます。
KGIは、たとえば「必要人材を10名採用する」「内定承諾者を8名獲得する」「入社後半年の定着率を90%以上にする」などです。
KPIは、応募者数、書類通過率、面接設定率、面接通過率、内定承諾率、候補者満足度などになります。
もし応募者数は多いのに採用数が少ない場合、書類通過率や面接通過率に問題があるかもしれません。
内定は出ているのに入社につながらない場合、内定承諾率や候補者フォローに問題があるかもしれません。
KPIを見ることで、採用プロセスのどこを改善すべきかが見えやすくなります。
具体例でわかるポイント
KPI / KGIの具体例からわかるポイントは、最終成果と途中指標を分けて考えることです。
- KGIで最終ゴールを決める
- KGIに至るプロセスを整理する
- 重要なKPIを設定する
- 定期的に進捗を確認する
- KPIがKGIにつながっているか見直す
KPI / KGIは、数字を並べるためではなく、目標達成に向けた行動を改善するために使います。
KPI / KGIを使うメリット
KPI / KGIを使うメリットは、目標達成までの進捗を見える化できることです。
最終成果だけを見ていると、問題に気づくのが遅れることがあります。
KPIを設定しておけば、途中で進捗を確認し、早めに対策できます。
主なメリットは、次の通りです。
- 最終目標を明確にできる
- 進捗を途中で確認できる
- 行動と成果をつなげやすい
- チームで共通認識を持ちやすい
- 早めに問題に気づける
- 改善策を考えやすい
- OKRやMBOの運用に活用しやすい
KPI / KGIは、組織の目標を現場の行動に落とし込むために役立ちます。
KPI / KGIを使うときの注意点
KPI / KGIを使うときに注意したいのは、数字を追うこと自体が目的にならないようにすることです。
よくある失敗は、次のようなものです。
- KPIが多すぎる
- KGIと関係の薄いKPIを追っている
- 測りやすい指標だけを設定する
- 数字は良いのに成果につながっていない
- KPIを達成するための形式的な行動が増える
- 定性的な価値を無視してしまう
- 指標を見直さない
たとえば、研修参加率だけをKPIにすると、参加者数は増えても、実務で活用されていない可能性があります。
営業で訪問件数だけをKPIにすると、訪問数は増えても、提案の質が下がることがあります。
KPIは、KGIにつながる指標である必要があります。
また、数字だけでは見えない質的な要素も大切です。
指標管理は、現場の行動を良くするために使うものであり、数字を達成するためだけに使うものではありません。
関連フレームワークとの違い
KPI / KGIと関連するフレームワークには、OKR、MBO、MVV、バランススコアカードなどがあります。
それぞれの違いを簡単に整理します。
- KPI / KGI
目標達成度や進捗を測るための指標管理フレームワークです。最終成果と途中指標を整理します。 - OKR
ObjectiveとKey Resultsで挑戦的な目標と成果を管理するフレームワークです。Key ResultsにKPIの考え方を使うことがあります。 - MBO
上司と部下が目標を設定し、成果や行動を評価する目標管理の仕組みです。個人目標の評価に使いやすいです。 - MVV
Mission、Vision、Valueで組織の存在意義や価値観を整理するフレームワークです。KGIやKPIの上位方針になります。 - バランススコアカード
財務、顧客、業務プロセス、学習と成長などの視点から経営指標を整理するフレームワークです。
KPI / KGIは、目標を数値で管理するための道具です。
一方で、OKRは挑戦目標の運用、MBOは個人目標と評価、MVVは組織の上位方針を整理するために使います。
KPI / KGIはどんな場面で使うと効果的か
KPI / KGIは、特に次のような場面で効果的です。
- 目標達成までの進捗を見える化したいとき
- 組織目標を現場行動に落とし込みたいとき
- 人材育成や研修効果を確認したいとき
- 営業、採用、マーケティングのプロセスを改善したいとき
- OKRやMBOを運用したいとき
- チームで同じ指標を見ながら改善したいとき
- 成果と行動の関係を整理したいとき
KPI / KGIは、目標を数字で追える業務に向いています。
一方で、数値化しにくい価値や長期的な成長もあります。
その場合は、定性的な評価や面談、行動観察なども組み合わせることが大切です。
まとめ
KPI / KGIとは、目標達成度や進捗を管理するための指標です。
KGIは、最終的に達成したいゴールを表す指標です。
KPIは、そのゴールに向かう途中で確認する重要なプロセス指標です。
KGIだけでは、途中の進捗が見えにくくなります。
KPIだけでは、最終的に何を達成したいのかが見えにくくなります。
そのため、KPIとKGIはセットで考えることが大切です。
人材育成、採用、営業、業務改善、組織開発など、さまざまな場面で活用できます。
大切なのは、数字を追うこと自体を目的にしないことです。
KPIがKGIにつながっているか、現場の行動改善につながっているかを定期的に確認する必要があります。
まずは、自分の業務について、「最終的に達成したい成果は何か」「その途中で何を見れば進捗がわかるか」を書き出してみましょう。
それが、KPI / KGI設計の第一歩になります。