売上やクレーム、問い合わせ、作業ミスなどのデータを見ていると、「どこから手をつければよいのか分からない」と感じることはないでしょうか。
項目が多いほど、全部が重要に見えてしまい、改善の優先順位がぼやけやすくなります。
そんなときに役立つのが、パレート分析です。
パレート分析は、項目を大きい順に並べて、どの要因が全体に大きく影響しているかを見つけるためのフレームワークです。
売上の上位商品、クレームの主原因、作業ミスの主要パターンなど、重点を把握したいときに使いやすい型です。
そこでこの記事では、パレート分析の意味、使い方、具体例、注意点までを、初心者向けにやさしく整理して解説します。
この記事でわかること
- パレート分析とは何か
- パレート分析は何に使うのか
- パレート分析の基本的な考え方
- パレート分析の使い方
- パレート分析の具体例
- クロスSWOTやRFM分析との違い
最初から高度な統計分析をする必要はありません。まずは「重要な少数を見つける型だ」とわかれば十分です。
パレート分析とは?
パレート分析とは、データを大きい順に並べて、全体への影響が大きい要因から優先的に見るための考え方です。
もっとやさしく言うと、パレート分析は
たくさんある要因の中から、特に重要なものを見つける型です。
よく知られている考え方に、「全体の結果の多くは、少数の重要な要因によって生まれていることがある」というものがあります。
たとえば、
- 売上の多くを一部の商品が作っている
- クレームの多くが少数の原因に集中している
- 問い合わせの多くが特定テーマに偏っている
といったことがあります。
パレート分析は、そうした偏りを見える化して、どこに力を入れるべきかを考えるためのフレームワークです。
パレート分析を一言でいうと
パレート分析を一言でいうと、重要な少数を見つけるフレームワークです。
パレート分析は、全部を均等に見るのではなく、影響の大きいところから優先するための型です。
パレート分析は何に使うのか
パレート分析は、主に次のような場面で使います。
- 売上上位商品の把握
- クレーム原因の重点把握
- 問い合わせ内容の整理
- 不良原因の優先順位づけ
- 業務改善の優先テーマ整理
- 施策対象の絞り込み
たとえば、売上が伸び悩んでいるときに、すべての商品を同じように改善しようとすると力が分散しやすくなります。
ですが、売上の大半を作っている上位商品が見えれば、そこを優先的に強化する判断がしやすくなります。
どんな人に向いているか
パレート分析が向いているのは、次のような人です。
- データから優先順位をつけたい人
- 改善の重点を見つけたい人
- 売上やクレームの要因を整理したい人
- 問題が多すぎて整理できない人
パレート分析の基本的な考え方
パレート分析では、主に次のような流れで考えます。
- 項目ごとの数値を集める
- 大きい順に並べる
- 累積でどこまで全体を占めるかを見る
- 重点項目を決める
つまり、ただ件数を見るだけでなく、どこまでで全体の大部分を占めているかを見ることがポイントです。
このため、パレート分析では「棒グラフ」と「累積比率」の組み合わせで見ることがよくあります。
パレート分析の使い方
ここからは、パレート分析の基本的な使い方を順番に見ていきます。
最初は難しく考えず、項目を大きい順に並べるところから始めれば大丈夫です。
手順1 テーマを決める
まずは、何を分析するのかを決めます。
売上、クレーム、問い合わせ、不良、作業ミスなどが対象になります。
手順2 項目ごとの数値を集める
各項目の件数や金額を集計します。
たとえば商品別売上、原因別クレーム件数などです。
手順3 大きい順に並べる
集計した項目を、大きい順に並べ替えます。
ここで重要な順番が見えやすくなります。
手順4 累積比率を見る
上から足していったとき、どこまでで全体の何%になるかを見ます。
上位項目だけでかなりの割合を占めていることがあります。
手順5 重点項目を決める
最後に、どの項目を優先的に改善、強化、対策すべきかを決めます。
- テーマを決める
- 項目ごとの数値を集める
- 大きい順に並べる
- 累積比率を見る
- 重点項目を決める
パレート分析は、グラフを作ることではなく、どこに集中すべきかを見つけることが大切です。
パレート分析の具体例
ここでは、「ECサイトの商品別売上」を例に、考え方を簡単に見てみます。
例:ECサイトの商品別売上
前提として、10種類の商品を販売しているECサイトがあるとします。
商品別売上を集計して、大きい順に並べるとします。
すると、たとえば
- 上位2商品で全体売上の45%
- 上位4商品で全体売上の70%
- 残り6商品で全体売上の30%
のような結果が見えることがあります。
このとき、
- 上位商品は在庫、広告、レビュー強化を優先する
- 中位商品は改善余地を検討する
- 下位商品は整理や見直しを考える
といった判断がしやすくなります。
別の例:問い合わせ内容
問い合わせ内容を分類すると、
- 配送状況の確認
- 返品方法
- 支払い方法
- 会員登録
- 商品仕様
などがあるとします。
件数を並べたところ、
配送状況確認と返品方法だけで問い合わせ全体の60%を占めていたとします。
この場合、まずは
- 配送状況表示の改善
- 返品案内ページの見直し
を優先したほうが効果が出やすいと考えられます。
具体例でわかるポイント
- 重点項目が見えやすい
- 全部を同時に改善しなくてよくなる
- 優先順位の説得力が増す
パレート分析を使うメリット
パレート分析を使うメリットは、主に次の通りです。
- 優先順位をつけやすい
- 重要な要因を見つけやすい
- 改善の焦点を絞りやすい
- データにもとづいた判断をしやすい
たとえば、問題が10個あるとき、感覚だけでは全部同じくらい重要に見えることがあります。ですが、パレート分析を使うと、実際には上位2〜3項目が大部分を占めていることに気づける場合があります。
パレート分析を使うときの注意点
注意
パレート分析は便利ですが、大きい項目だけ見ればよいと決めつけると弱くなります。
よくある失敗は、次のようなものです。
- 項目の分類が粗すぎる
- 金額だけ見て件数を見ない
- 少数でも重大な問題を見落とす
- 分析して終わる
特に初心者は、「上位だけ対応すれば十分」と思いがちですが、そうではありません。大切なのは、重要度と緊急度、影響の大きさを合わせて考えることです。
RFM分析との違い
パレート分析とよく比較されるのが、RFM分析です。
- パレート分析 → 項目の中で影響の大きい少数を見つける型
- RFM分析 → 顧客を最近性、頻度、金額で分類する型
つまり、パレート分析は項目の重点把握に向いており、RFM分析は顧客の状態把握に向いています。
どう使い分ければよいか
売上上位の商品や主要クレーム原因を見たいならパレート分析が使いやすいです。
一方で、顧客ごとに施策を変えたいならRFM分析のほうが向いています。
クロスSWOTとの違い
パレート分析は、クロスSWOTとも役割が異なります。
- パレート分析 → データ上の重点項目を見つける型
- クロスSWOT → 内部要因と外部要因を掛け合わせて施策化する型
この違いを理解しておくと、実務で迷いにくくなります。
パレート分析は、何を優先するかを見るのに向いています。
一方、クロスSWOTは、どう戦略に落とすかを見るのに向いています。
パレート分析はどんな場面で使うと効果的か
特にパレート分析が効果を発揮しやすいのは、次のような場面です。
- 売上上位商品を把握したいとき
- 問題の重点原因を見たいとき
- 問い合わせやクレームの優先対応を決めたいとき
- 改善テーマを絞りたいとき
逆に、顧客の心理や購買行動の流れを見たいときにはAISASやカスタマージャーニーマップのほうが合います。
そのため、パレート分析は万能ではなく、たくさんある要因の中から重点を決めたい場面で使うのが最も効果的です。
まとめ
パレート分析とは、項目を大きい順に並べて、全体に大きく影響している少数の要因を見つけるフレームワークです。
売上分析、クレーム分析、問い合わせ分析、業務改善など幅広い場面で使いやすく、特に「どこから手をつけるべきか」を整理したいときの入口として役立ちます。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずは
- 項目を集める
- 大きい順に並べる
- どこまでで全体の大部分を占めるかを見る
の3つをやるだけでも十分です。
大切なのは、データを眺めることではなく、重点を決めて行動につなげることです。