顧客データを見ていると、「数字はたくさんあるのに、何を見ればいいのか分からない」と感じることはないでしょうか。
購入履歴、継続率、売上、アンケート結果、広告費など、見られる数字は多いのですが、目的に合わない見方をすると、判断を誤りやすくなります。
実際、顧客分析といっても、見たいものは1つではありません。
- 今どんな状態の顧客か
- どの顧客群が定着しているか
- どれだけ支持されているか
- 長期的にどれくらい価値があるか
- 1人獲得するのにいくらかかっているか
- どの項目に重点を置くべきか
こうした論点ごとに、向いているフレームワークは違います。
そこでこの記事では、顧客分析で使う代表的なフレームワーク6選を、初心者向けにやさしく整理します。
この記事でわかること
- 顧客分析で使う代表的なフレームワーク
- それぞれの役割の違い
- どんな場面で使い分ければよいか
- 初心者がどこから押さえるとよいか
最初から全部を細かく使いこなす必要はありません。まずは「顧客分析にも役割の違う型がある」と分かれば十分です。
顧客分析でフレームワークを使う意味
顧客分析が曖昧なままだと、施策も曖昧になりやすくなります。
たとえば、
- 誰を優先すべきか分からない
- 既存顧客に何を打つべきか決めにくい
- 獲得効率がよいのか悪いのか見えない
- 継続率の変化に気づきにくい
- 売上の数字だけで判断してしまう
といったことが起こりやすくなります。
逆に、フレームワークを使うと、
- 顧客の現在地を見る
- 顧客群ごとの差を見る
- 支持の強さを見る
- 長期価値を見る
- 獲得効率を見る
- 重点項目を絞る
といった整理がしやすくなります。
大切なのは、数字を眺めることではなく、どの数字で何を判断するかを明確にすることです。
顧客分析で使うフレームワーク6選
今回、顧客分析の入口として押さえやすいのは次の6つです。
- RFM分析
- コホート分析
- NPS
- LTV
- CAC
- パレート分析
それぞれ役割が違うので、順番に見ていきます。
1. RFM分析
RFM分析は、Recency、Frequency、Monetary の3つで顧客の状態を整理するフレームワークです。
もっとやさしく言うと、
最近買っているか、どれくらいの頻度で買うか、いくら使っているかで顧客を分ける型
です。
RFM分析が向いている場面
- 優良顧客を見つけたいとき
- 離反リスク顧客を見つけたいとき
- CRM施策を打ち分けたいとき
- 既存顧客を状態別に整理したいとき
RFM分析の強み
RFM分析の強みは、今の顧客状態を分かりやすく整理できることです。
顧客を一括りにせず、「今どんな温度感か」を見やすくなります。
RFM分析の注意点
現在の状態を見るのには強いですが、顧客群の経時変化や長期価値までは直接分かりません。
そのため、コホート分析やLTVと組み合わせると使いやすいです。
2. コホート分析
コホート分析は、同じ時期や条件で集まった顧客群を分けて、その後の行動や継続を比べるフレームワークです。
もっとやさしく言うと、
同じタイミングで入ってきた顧客たちが、その後どう動いたかを比べる型
です。
コホート分析が向いている場面
- 継続率や定着率を比較したいとき
- 月ごとの獲得顧客の質を見たいとき
- キャンペーンごとの違いを確認したいとき
- 全体平均に隠れた差を見たいとき
コホート分析の強み
強みは、顧客群ごとの差を時間の流れで見られることです。
最近入ってきた顧客の質が良いのか悪いのかを確認しやすくなります。
コホート分析の注意点
今この瞬間に誰へ何を打つか、という施策整理にはRFM分析のほうが向いています。
コホート分析は、顧客群の変化を見る型です。
3. NPS
NPSは、Net Promoter Score、つまり顧客の推奨意向を見る指標です。
もっとやさしく言うと、
そのサービスを人にすすめたいと思うくらい支持されているかを見る型
です。
NPSが向いている場面
- 顧客ロイヤルティを見たいとき
- 紹介や口コミの起こりやすさを見たいとき
- サービスの支持度を定点観測したいとき
- 満足度では見えない支持を知りたいとき
NPSの強み
NPSの強みは、満足ではなく支持の強さを見やすいことです。
「まあ満足」と「人にすすめたいほど好き」は違うので、その差を見やすくなります。
NPSの注意点
点数だけで判断すると弱いです。
大切なのは、なぜその点数なのかを見て改善につなげることです。
4. LTV
LTVは、Life Time Value、つまり顧客生涯価値を見るフレームワークです。
もっとやさしく言うと、
その顧客が長い目で見てどれくらいの価値をもたらすかを見る型
です。
LTVが向いている場面
- サブスクやリピート商材を扱うとき
- 顧客を長期視点で評価したいとき
- CRM投資の意味を考えたいとき
- CACとセットで採算を見たいとき
LTVの強み
LTVの強みは、1回の売上ではなく、顧客との関係全体の価値を見られることです。
継続率やリピートの重要性が見えやすくなります。
LTVの注意点
平均値だけで見ると実態がぼやけることがあります。
顧客群ごとの差を見る視点も必要です。
5. CAC
CACは、Customer Acquisition Cost、つまり顧客獲得コストを見るフレームワークです。
もっとやさしく言うと、
新しい顧客を1人増やすのに、いくらかかっているかを見る型
です。
CACが向いている場面
- 広告や営業施策の採算を見たいとき
- チャネルごとの獲得効率を比べたいとき
- 新規顧客獲得の投資判断をしたいとき
- LTVとのバランスを見たいとき
CACの強み
CACの強みは、獲得効率を数字で見られることです。
売上が増えていても、獲得コストが高すぎれば苦しい、という視点を持てます。
CACの注意点
CACだけ見ても十分ではありません。
大切なのは、LTVとセットで見て、長期的に見合うかを判断することです。
6. パレート分析
パレート分析は、重要な少数を見つけるフレームワークです。
もっとやさしく言うと、
多くの項目の中で、特に大きな影響を持つものを見つける型
です。
パレート分析が向いている場面
- 売上上位商品を見たいとき
- 問い合わせやクレームの重点原因を見たいとき
- 改善テーマを絞りたいとき
- 顧客属性別の重点を見たいとき
パレート分析の強み
強みは、優先順位をつけやすいことです。
全部を同時に改善しようとせず、重点から取り組みやすくなります。
パレート分析の注意点
大きい項目だけ見ればよいわけではありません。
少数でも重大な問題は別途見る必要があります。
6つの違いをざっくり整理すると
ここまでの6つを、役割でざっくり整理すると次のようになります。
今の顧客状態を見たい
- RFM分析
顧客群の変化を見たい
- コホート分析
支持の強さを見たい
- NPS
長期価値を見たい
- LTV
獲得効率を見たい
- CAC
重点項目を絞りたい
- パレート分析
同じ顧客分析でも、見ているものが違います。
初心者ならどこから押さえるべきか
初心者なら、まずは次の順がおすすめです。
1. RFM分析
既存顧客を状態別に見る感覚をつかみやすいためです。
2. LTV
顧客を1回の売上ではなく長期で見る視点を持ちやすいためです。
3. CAC
獲得にいくらかかっているかを見る基本感覚を持ちやすいためです。
つまり、
- 今どんな顧客か
- 長く見るとどれくらい価値があるか
- 取るのにいくらかかるか
の順で押さえると理解しやすいです。
そのあとで、
- 顧客群の変化 → コホート分析
- 支持の強さ → NPS
- 重点項目 → パレート分析
へ広げると自然です。
どう使い分ければよいか
迷ったら、次のように考えると使いやすいです。
誰にCRM施策を打つか決めたい
- RFM分析
最近の顧客の質を見たい
- コホート分析
支持されているかを見たい
- NPS
長期的に価値がある顧客を見たい
- LTV
新規獲得効率を見たい
- CAC
重点的に改善すべき項目を絞りたい
- パレート分析
フレームワークを使うときの注意点
注意
顧客分析のフレームワークは便利ですが、数字を出すこと自体が目的になると意味がありません。
よくある失敗は、次のようなものです。
- 分析して終わる
- 平均値だけで判断する
- 目的に合わない指標を見る
- 施策につなげない
大切なのは、数字を見て終わることではなく、次の行動を決めることです。
まとめ
顧客分析で使うフレームワークには、RFM分析、コホート分析、NPS、LTV、CAC、パレート分析などがあります。
それぞれ役割が違うため、全部を同じ分析として扱わないことが大切です。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずは
- 顧客の今を見る → RFM分析
- 顧客の長期価値を見る → LTV
- 顧客獲得効率を見る → CAC
の3つを押さえるだけでも十分です。
大切なのは、フレームワークを暗記することではなく、顧客をよりよく理解して、優先順位や施策に活かすことです。
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