商品やサービスの改善を考えるときに、「満足度は高いはずなのに、なぜ口コミや紹介が増えないのだろう」と感じることはないでしょうか。
単に満足しているだけでは、必ずしも他の人に勧めたくなるとは限りません。継続や紹介につながる強い支持を見たいときには、別の見方が必要です。
そんなときに役立つのが、NPSです。
NPSは、Net Promoter Score の略で、日本語では推奨度を表す指標として使われます。
顧客がその商品やサービスを「他の人にどれくらい勧めたいか」を数値で見るための考え方です。
そこでこの記事では、NPSの意味、使い方、具体例、注意点までを、初心者向けにやさしく整理して解説します。
この記事でわかること
- NPSとは何か
- NPSは何に使うのか
- NPSの基本的な考え方
- NPSの見方と計算イメージ
- NPSの具体例
- 顧客満足度との違い
最初から厳密な顧客ロイヤルティ分析をする必要はありません。まずは「勧めたい気持ちを見る型だ」とわかれば十分です。
NPSとは?
NPSとは、Net Promoter Score の略で、顧客が商品やサービスを他人に勧めたいかどうかを数値で測るための指標です。
もっとやさしく言うと、NPSは
そのサービスを人にすすめたいと思うくらい、支持されているかを見る型です。
一般的には、顧客に次のような質問をします。
「この商品やサービスを、友人や同僚に勧める可能性はどれくらいありますか?」
そして、0点から10点で答えてもらいます。
この点数によって、顧客を次の3つに分けます。
- 推奨者
- 中立者
- 批判者
NPSを一言でいうと
NPSを一言でいうと、顧客の推奨意向を見るフレームワークです。
NPSは、ただ満足しているかではなく、“人にすすめたいほど支持されているか”を見るための型です。
NPSは何に使うのか
NPSは、主に次のような場面で使います。
- 顧客ロイヤルティの把握
- 継続率や紹介率の改善
- サービス体験の評価
- 顧客の支持度の比較
- 改善優先順位の検討
- ブランドやサービスの健全性確認
たとえば、定額制サービスを運営している場合でも、継続している顧客が本当に好きで使っているのか、ただ何となく続けているのかは、別問題です。
NPSを見ると、「支持されている継続」なのか、「消極的な継続」なのかを考える材料になります。
どんな人に向いているか
NPSが向いているのは、次のような人です。
- サービス改善に関わる人
- CRMや顧客体験を重視する人
- 継続や紹介を増やしたい人
- 顧客の支持度を知りたい人
NPSの基本的な考え方
NPSでは、0〜10点の回答を次の3つに分けます。
- 9〜10点 → 推奨者
- 7〜8点 → 中立者
- 0〜6点 → 批判者
そして、次のように計算します。
NPS = 推奨者の割合 − 批判者の割合
たとえば、100人に聞いた結果が
- 推奨者 40人
- 中立者 35人
- 批判者 25人
だった場合、
NPS = 40% − 25% = 15
となります。
つまり、このケースではNPSは15です。
NPSの使い方
ここからは、NPSの基本的な使い方を順番に見ていきます。
最初は難しく考えず、推奨度を聞いて、理由も一緒に集めるところから始めれば大丈夫です。
手順1 推奨度を聞く
まずは、「このサービスを他の人に勧める可能性はどれくらいありますか」と質問します。
0〜10点で答えてもらうのが一般的です。
手順2 顧客を3分類する
回答をもとに、
- 9〜10点の推奨者
- 7〜8点の中立者
- 0〜6点の批判者
に分けます。
手順3 NPSを計算する
推奨者の割合から、批判者の割合を引いてNPSを出します。
手順4 理由を確認する
点数だけで終わらず、「なぜその点数をつけたのか」も聞きます。
ここが改善のヒントになります。
手順5 改善に活かす
批判者が多い理由、中立者が推奨者になりきれない理由、推奨者が評価している点を整理して、施策につなげます。
- 推奨度を聞く
- 顧客を3分類する
- NPSを計算する
- 理由を確認する
- 改善に活かす
NPSは、点数を出すことよりも、その背景を理解して改善につなげることが大切です。
NPSの具体例
ここでは、「定額制の動画配信サービス」を例に、考え方を簡単に見てみます。
例:動画配信サービスのNPS
前提として、会員100人に推奨度を聞いたとします。
結果が次の通りだったとします。
- 9〜10点をつけた人 45人
- 7〜8点をつけた人 30人
- 0〜6点をつけた人 25人
この場合、
NPS = 45% − 25% = 20
となります。
さらに自由記述を見ると、
- 推奨者
作品数が多い
操作しやすい
家族でも使いやすい - 批判者
見たい作品が少ない
検索しにくい
料金が高く感じる
といった声があるかもしれません。
この場合、
- 検索性の改善
- ラインアップの見せ方改善
- 料金に対する納得感の強化
などが次の課題として見えてきます。
具体例でわかるポイント
- 点数だけでなく理由が重要
- 批判者の不満が改善の入口になる
- 推奨者の評価点が強みの確認にもなる
NPSを使うメリット
NPSを使うメリットは、主に次の通りです。
- 推奨意向をシンプルに把握しやすい
- 顧客ロイヤルティを見やすい
- 継続や紹介につながる支持を確認しやすい
- 定点観測しやすい
たとえば、アンケート項目が多いと全体像が見えにくいことがあります。NPSは1つの質問を軸にできるため、継続的に追いやすいのが利点です。
NPSを使うときの注意点
注意
NPSは便利ですが、点数だけ見て一喜一憂すると弱くなります。
よくある失敗は、次のようなものです。
- 点数だけ見て理由を見ない
- 比較対象なしで高い低いを判断する
- 回答者属性を見ない
- NPS改善だけが目的になる
特に初心者は、「NPSが高ければすべてよい」と考えがちですが、そうではありません。大切なのは、なぜその点数なのかを見て、体験改善につなげることです。
顧客満足度との違い
NPSとよく比較されるのが、顧客満足度です。
- NPS → 人にすすめたいかを見る型
- 顧客満足度 → 本人が満足しているかを見る型
つまり、NPSは推奨したいほどの支持を見るのに向いており、顧客満足度は利用者本人の満足感を見るのに向いています。
どう使い分ければよいか
日々の体験の良し悪しを細かく見たいなら顧客満足度が使いやすいです。
一方で、継続や紹介につながる強い支持を見たいなら、NPSのほうが向いています。
LTVとの違い
NPSは、LTVとも役割が異なります。
- NPS → 顧客の支持や推奨意向を見る型
- LTV → 顧客が長期的にもたらす価値を見る型
この違いを理解しておくと、実務で迷いにくくなります。
NPSは、感情的な支持を見るのに向いています。
一方、LTVは、金額ベースの長期価値を見るのに向いています。
NPSはどんな場面で使うと効果的か
特にNPSが効果を発揮しやすいのは、次のような場面です。
- サービスの支持度を見たいとき
- 継続率や紹介率を改善したいとき
- 顧客体験を定点観測したいとき
- 競合や時系列で比較したいとき
逆に、直近の顧客状態を分類したいときにはRFM分析、顧客獲得コストを見たいときにはCACのほうが合います。
そのため、NPSは万能ではなく、どれだけ支持されているかを見たい場面で使うのが最も効果的です。
まとめ
NPSとは、顧客が商品やサービスを他の人に勧めたいかどうかを数値で見るフレームワークです。
サブスク、会員サービス、EC、BtoBサービスなど幅広い場面で使いやすく、特に「満足のその先にある支持」を整理したいときの入口として役立ちます。
最初は難しく見えるかもしれませんが、まずは
- すすめたいかを聞く
- 推奨者、中立者、批判者に分ける
- 理由を確認する
の3つをやるだけでも十分です。
大切なのは、点数を追うことではなく、支持される体験を増やすことです。