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70:20:10とは?初心者向けに意味・使い方・具体例をやさしく解説

人材育成を考えるとき、「研修を実施しているのに現場で行動が変わらない」「社員の成長をどう支援すればよいかわからない」「OJTと研修をどう組み合わせればよいか」と感じることはないでしょうか。

人の成長は、研修だけで起こるわけではありません。

実際の仕事で経験し、上司や同僚から学び、必要な知識を研修で補うことで、実務に活きる成長につながります。

そんなときに役立つのが、70:20:10です。

70:20:10は、人の学びの多くは、仕事上の経験、他者との関わり、研修や学習機会の組み合わせによって生まれると考える人材育成のフレームワークです。

人材育成、研修設計、OJT、管理職育成、キャリア開発、組織開発などで活用できます。

この記事では、70:20:10の意味、使い方、具体例、注意点までを、初心者向けにやさしく整理して解説します。

目次

この記事でわかること

  • 70:20:10とは何か
  • 70:20:10は何に使うのか
  • 経験、他者、研修による学びの意味
  • 70:20:10の使い方
  • 70:20:10の具体例
  • 関連フレームワークとの違い

最初から厳密な比率として考える必要はありません。まずは「70:20:10は、人材育成を研修だけでなく、経験と周囲からの学びも含めて設計するための型だ」とつかめれば十分です。

70:20:10とは?

70:20:10とは、人の成長や学習を、経験、他者との関わり、研修や学習機会の3つで整理するフレームワークです。

一般的には、次のように説明されます。

  • 70:仕事上の経験から学ぶ
  • 20:上司、先輩、同僚など他者から学ぶ
  • 10:研修、講座、読書など体系的な学習から学ぶ

やさしく言うと、70:20:10は「人は研修だけで成長するのではなく、実際の仕事経験と周囲からの支援を通じて大きく成長する」という考え方です。

たとえば、管理職になった人がマネジメントを学ぶ場合、研修で理論を学ぶことは大切です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

実際に部下と面談し、目標設定を行い、チームの問題に対応し、上司からフィードバックを受けることで、管理職としての力が身についていきます。

一言でいうと、70:20:10は、学びを現場経験、周囲からの支援、研修の3つで設計するための人材育成フレームワークです。

70:20:10は何に使うのか

70:20:10は、人材育成や研修設計を考えるときに使います。

特に、研修を実施するだけで終わらせず、実務での経験や上司からの支援と結びつけたい場面に向いています。

70:20:10は、次のような場面で活用できます。

  • 人材育成体系を設計したいとき
  • 研修を現場実践につなげたいとき
  • OJTを強化したいとき
  • 管理職育成を設計したいとき
  • 若手社員の成長支援を考えたいとき
  • キャリア開発や配置を考えたいとき
  • 研修効果を高めたいとき
  • 上司による育成支援を強化したいとき

たとえば、若手社員向けに「問題解決力を高める研修」を行うとします。

研修でフレームワークを学ぶだけでは、現場で使えるようになるとは限りません。

実際の業務課題に取り組み、上司からフィードバックを受け、振り返りを行うことで、問題解決力が身につきやすくなります。

70:20:10を使うと、研修、OJT、フィードバック、経験機会を組み合わせて育成を設計できます。

どんな人に向いているか

70:20:10が向いているのは、次のような人です。

  • 人材育成を担当している人
  • 研修設計を行う人
  • OJTを改善したい人
  • 管理職育成を担当する人
  • 部下育成を行う管理職
  • 若手社員の成長支援を考える人
  • 研修効果を高めたい人
  • 組織として学習文化を作りたい人

70:20:10は、人事担当者だけでなく、現場で部下や後輩を育てる上司にも使いやすい考え方です。

70:20:10の基本的な考え方

70:20:10の基本的な考え方は、人の学びを研修だけに限定しないことです。

人材育成というと、研修を企画することだと考えられがちです。

もちろん研修は大切です。

しかし、実務で使える能力は、実際の仕事経験を通じて身につくことが多くあります。

たとえば、リーダーシップ、問題解決力、顧客対応力、部下育成力、調整力などは、座学だけでは身につきにくい能力です。

実際の場面で試し、失敗し、振り返り、周囲から助言を受けることで伸びていきます。

70:20:10では、学びを次の3つに分けて考えます。

70は、仕事上の経験からの学びです。

新しい業務、難しいプロジェクト、役割変更、異動、顧客対応、トラブル対応などが含まれます。

20は、他者からの学びです。

上司からのフィードバック、先輩からの助言、メンター、1on1、同僚との対話、ロールモデルからの学びなどが含まれます。

10は、研修や学習機会からの学びです。

集合研修、eラーニング、読書、講座、資格学習、社内勉強会などが含まれます。

この3つを組み合わせることで、学びが現場で活きやすくなります。

70:20:10の使い方

70:20:10は、次の流れで使うとわかりやすいです。

手順1 育成したい能力を決める

まず、どのような能力を育成したいのかを決めます。

対象となる能力があいまいなままだと、経験、他者支援、研修をうまく設計できません。

たとえば、次のような能力が考えられます。

  • 問題解決力
  • リーダーシップ
  • 顧客対応力
  • 部下育成力
  • 企画力
  • 技術専門性
  • 業務改善力
  • コミュニケーション力
  • マネジメント力

まずは、育成したい対象者と能力を明確にします。

たとえば、「若手社員の問題解決力を高める」「新任管理職の部下育成力を高める」のように具体化します。

手順2 70の経験機会を設計する

次に、仕事上の経験機会を設計します。

70:20:10では、最も大きな学びは経験から生まれると考えます。

そのため、どのような実務経験を積ませるかが重要です。

経験機会としては、次のようなものがあります。

  • 新しい業務を任せる
  • 小さなプロジェクトを担当させる
  • 顧客対応を任せる
  • 改善テーマを担当させる
  • 後輩指導を任せる
  • 他部門との調整を経験させる
  • 難易度の高い課題に挑戦させる
  • 役割を少し広げる

ここで大切なのは、ただ仕事を任せるだけではないことです。

本人にとって少し背伸びが必要な経験を与え、学びにつながるように設計します。

手順3 20の他者支援を設計する

次に、他者からの学びを設計します。

経験を与えるだけでは、本人が学びを十分に得られない場合があります。

そこで、上司、先輩、同僚、メンターなどからの支援が重要になります。

他者支援としては、次のようなものがあります。

  • 上司との1on1
  • 先輩社員によるOJT
  • メンター制度
  • フィードバック面談
  • 振り返りミーティング
  • ロールモデルとの対話
  • 同期や同僚との学び合い
  • 上位者からの助言

特に、経験した後の振り返りが重要です。

何がうまくいったのか、何が難しかったのか、次にどう改善するのかを対話することで、経験が学びに変わります。

手順4 10の研修や学習を設計する

次に、研修や学習機会を設計します。

研修は、知識や考え方を体系的に学ぶために役立ちます。

たとえば、問題解決力を育てる場合、ロジックツリー、なぜなぜ分析、仮説思考などを研修で学ぶことができます。

管理職育成では、目標設定、評価、1on1、フィードバック、労務管理などを学ぶ必要があります。

研修や学習機会としては、次のようなものがあります。

  • 集合研修
  • eラーニング
  • 読書
  • 社内勉強会
  • ケーススタディ
  • ワークショップ
  • 外部講座
  • 資格学習

研修は、経験の前に行う場合もあれば、経験の後に振り返りとして行う場合もあります。

重要なのは、研修を現場での実践とつなげることです。

手順5 経験、他者支援、研修をつなげる

最後に、70、20、10をバラバラにせず、つなげて設計します。

たとえば、次のような流れが考えられます。

まず、研修で基本知識を学びます。

次に、現場で実際の課題に取り組みます。

その後、上司との1on1で振り返り、学びを整理します。

さらに、次の実践機会に活かします。

このように、研修、経験、フィードバックを循環させることで、学びが定着しやすくなります。

70:20:10は、比率そのものを厳密に守るためではなく、学びを多面的に設計するために使います。

70:20:10の具体例

ここでは、「新任管理職の育成」を例に、70:20:10の使い方を見てみます。

例 新任管理職を育成する場合

前提として、新しく管理職になった社員に、チームマネジメント力を身につけてもらいたいとします。

まず、育成したい能力を決めます。

今回は、目標設定、部下育成、1on1、フィードバック、チーム運営を育成テーマにします。

70の経験としては、実際にチーム目標を設定し、メンバーと面談し、業務分担を行い、チーム課題に対応する経験を積ませます。

また、小さな組織改善テーマを任せることもできます。

20の他者支援としては、上位管理職との定期面談、先輩管理職によるメンタリング、人事担当者との振り返り、管理職同士の情報交換会を設けます。

10の研修としては、新任管理職研修を実施し、評価制度、1on1、フィードバック、労務管理、心理的安全性などを学びます。

このように設計すると、研修で学んだことを現場で試し、上司や先輩からのフィードバックで学びを深められます。

別の例 若手社員の問題解決力を育成する場合

若手社員の問題解決力を高める場合にも、70:20:10は使えます。

70の経験としては、実際の業務改善テーマを担当させます。

たとえば、資料作成時間の短縮、問い合わせ対応の改善、共有フォルダ整理、業務マニュアル作成などです。

20の他者支援としては、上司が1on1で進め方を確認し、先輩が問題整理や資料作成に助言します。

チーム内で改善内容を発表し、フィードバックを受けることも効果的です。

10の研修としては、問題解決の基本、ロジックツリー、なぜなぜ分析、PDCA、ECRSなどを学びます。

このように、実務課題、上司支援、研修を組み合わせることで、若手社員が実際に使える問題解決力を身につけやすくなります。

具体例でわかるポイント

70:20:10の具体例からわかるポイントは、研修だけで育成を完結させないことです。

  • 実務経験で学ぶ
  • 上司や先輩から学ぶ
  • 研修で体系的に学ぶ
  • 経験後に振り返る
  • 学びを次の実践に活かす
  • 育成テーマごとに3つを組み合わせる

70:20:10は、学びを現場で使える力に変えるために役立つ考え方です。

70:20:10を使うメリット

70:20:10を使うメリットは、人材育成を研修だけに偏らせず、現場経験と周囲からの支援を組み合わせて設計できることです。

研修を実施しても、現場で実践する機会がなければ学びは定着しにくくなります。

また、経験を与えても、振り返りやフィードバックがなければ、本人任せになってしまいます。

70:20:10を使うと、学びを実務につなげやすくなります。

主なメリットは、次の通りです。

  • 研修と実務をつなげやすい
  • OJTを設計しやすい
  • 上司の育成役割を明確にしやすい
  • 経験学習を促しやすい
  • 管理職育成に活用しやすい
  • 若手社員の成長支援に使いやすい
  • 学びの定着を高めやすい

70:20:10は、人材育成を「研修を受けること」ではなく、「経験を通じて成長すること」として捉えるために役立ちます。

70:20:10を使うときの注意点

70:20:10を使うときに注意したいのは、比率を厳密に守ろうとしすぎないことです。

よくある失敗は、次のようなものです。

  • 70、20、10の数字を機械的に当てはめる
  • 研修を軽視してしまう
  • 経験を与えるだけで放置する
  • 上司のフィードバックが不足する
  • 本人にとって難しすぎる経験を与える
  • 振り返りの機会がない
  • 育成効果を確認しない

70:20:10は、正確な比率を守るためのルールではありません。

人材育成を、経験、他者支援、研修の3つでバランスよく設計するための考え方です。

また、「70が経験だから研修は不要」という意味でもありません。

研修で基礎知識を学ぶことで、経験からの学びが深まる場合があります。

重要なのは、研修、経験、フィードバックをつなげることです。

関連フレームワークとの違い

70:20:10と関連するフレームワークには、ADDIE、Kirkpatrickモデル、Will / Can / Must、コンピテンシーモデルなどがあります。

それぞれの違いを簡単に整理します。

  • 70:20:10
    人の学びを、経験、他者からの学び、研修による学びの3つで整理するフレームワークです。人材育成設計に向いています。
  • ADDIE
    Analyze、Design、Develop、Implement、Evaluateの流れで研修や教育プログラムを設計するフレームワークです。研修設計そのものに向いています。
  • Kirkpatrickモデル
    研修効果を、反応、学習、行動、成果の4段階で評価するモデルです。育成施策の効果測定に向いています。
  • Will / Can / Must
    本人の希望、能力、組織期待を整理するフレームワークです。育成テーマを決めるときに役立ちます。
  • コンピテンシーモデル
    成果につながる行動特性を整理するフレームワークです。育成すべき行動を具体化するときに使えます。

70:20:10は、学びの場を設計するフレームワークです。

ADDIEで研修を設計し、70:20:10で現場経験や上司支援まで含め、Kirkpatrickモデルで効果を評価すると、人材育成の流れを作りやすくなります。

70:20:10はどんな場面で使うと効果的か

70:20:10は、特に次のような場面で効果的です。

  • 研修を現場実践につなげたいとき
  • OJTを強化したいとき
  • 管理職育成を設計したいとき
  • 若手社員の成長支援を考えたいとき
  • 経験学習を促したいとき
  • 人材育成体系を見直したいとき
  • 上司の育成関与を高めたいとき

70:20:10は、実務で使える能力を育てたい場面に向いています。

一方で、研修プログラムの詳細設計にはADDIE、研修効果の測定にはKirkpatrickモデル、個別の育成テーマ設定にはWill / Can / Mustを組み合わせると効果的です。

まとめ

70:20:10とは、人の学びを、仕事上の経験、他者からの学び、研修や学習機会の3つで整理する人材育成のフレームワークです。

70は、実務経験からの学びです。

20は、上司、先輩、同僚、メンターなど他者からの学びです。

10は、研修、講座、読書、eラーニングなど体系的な学習からの学びです。

70:20:10を使うと、研修だけに頼らず、経験、フィードバック、学習を組み合わせた育成設計ができます。

大切なのは、数字の比率を厳密に守ることではありません。

学びを現場で実践し、周囲の支援を受け、振り返りながら成長につなげることです。

まずは、育成したい能力を1つ選び、「どんな経験を積ませるか」「誰がどのように支援するか」「どんな研修や学習が必要か」を書き出してみましょう。

それが、70:20:10を使った人材育成の第一歩になります。

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