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Zachman Frameworkとは?初心者向けに意味・使い方・具体例をやさしく解説

企業の業務やシステムを見直そうとすると、「何から整理すればよいのか分からない」と感じることがあります。

業務プロセス、データ、組織、システム、技術基盤、ルール、戦略など、考えるべき要素が多すぎるからです。特に、全社DX、基幹システム刷新、グループ会社統合、データ基盤整備のような大きなテーマでは、関係者によって見ているものが違います。

経営層は事業戦略や投資効果を見ています。業務部門は日々の仕事の流れを見ています。IT部門はシステム構成や技術基盤を見ています。外部ベンダーは要件や設計仕様を見ています。

このように視点がバラバラなまま議論すると、話がかみ合わなくなります。

そこで役立つのが、Zachman Frameworkです。

Zachman Frameworkは、企業全体の構造をさまざまな視点から整理するためのフレームワークです。初心者はまず「会社全体の業務やITを、見落としなく整理するためのマトリクス」と理解すれば十分です。

Zachman Frameworkを使うと、企業を構成する要素を、誰の視点で、何を、どのように見るのかを整理しやすくなります。全社的な業務改革やIT戦略、DX推進の初期整理に役立つ考え方です。

目次

この記事でわかること

・Zachman Frameworkとは何か
・Zachman Frameworkは何に使うのか
・Zachman Frameworkの基本的な考え方
・Zachman Frameworkの使い方
・Zachman Frameworkの具体例
・関連フレームワークとの違い

最初から完璧に使いこなす必要はありません。まずは「Zachman Frameworkは企業の構造を多面的に整理するための型だ」とつかめれば十分です。

Zachman Frameworkとは?

Zachman Frameworkとは、企業アーキテクチャを整理するための代表的なフレームワークです。

企業アーキテクチャとは、企業の業務、データ、システム、組織、技術、ルールなどを全体として整理する考え方です。英語ではEnterprise Architecture、略してEAと呼ばれます。

Zachman Frameworkの特徴は、企業を「視点」と「問い」の組み合わせで整理することです。

たとえば、同じ会社のシステムを見ても、経営者、業務担当者、設計者、開発者、運用担当者では、知りたいことが違います。

経営者は「何を実現したいのか」「なぜ必要なのか」を重視します。業務担当者は「誰がどの業務を行うのか」を重視します。設計者は「どのデータや機能が必要か」を重視します。開発者は「どう実装するか」を重視します。

Zachman Frameworkは、こうした異なる視点を整理するために使います。

初心者向けに言い換えると、Zachman Frameworkは「企業全体を抜け漏れなく見るための整理表」です。

一言でいうと、Zachman Frameworkは、企業アーキテクチャを複数の視点と問いで整理するためのフレームワークです。

Zachman Frameworkは何に使うのか

Zachman Frameworkは、企業全体の業務、情報、システム、組織、技術の関係を整理するために使います。

主な用途は次のとおりです。

・企業全体の構造を整理する
・業務とシステムの関係を見える化する
・DX推進の全体像を整理する
・基幹システム刷新の検討材料を整理する
・IT戦略と業務戦略のつながりを確認する
・関係者ごとの視点の違いを整理する
・システム設計で抜け漏れを確認する
・データ、業務、組織、技術の整合性を確認する
・全社アーキテクチャの棚卸しを行う
・外部コンサルタントやベンダーとの共通言語を作る

Zachman Frameworkは、何か1つの答えを出すための計算式ではありません。企業を多面的に整理し、抜け漏れや視点の偏りを減らすための枠組みです。

たとえば、DX推進の会議で「データ活用を進めよう」という話になったとします。しかし、データ活用といっても、どのデータを使うのか、誰が管理するのか、どのシステムにあるのか、どの業務で使うのか、どのルールで扱うのかを整理しないと、具体的な施策にはなりません。

Zachman Frameworkを使うと、こうした要素を一つずつ整理しやすくなります。

どんな人に向いているか

Zachman Frameworkは、次のような人に向いています。

・全社DXやIT戦略に関わる人
・エンタープライズアーキテクチャを学びたい人
・基幹システム刷新を検討している人
・業務改革や組織改革に関わる人
・情報システム部門の企画担当者
・経営企画や事業企画の担当者
・データ基盤やBI活用を推進している人
・複数部門をまたぐプロジェクトのリーダー
・外部ベンダーやコンサルタントと議論する人
・複雑な業務やシステムを整理したい人

Zachman Frameworkは、やや上流寄りのフレームワークです。

そのため、日々の小さな業務改善よりも、全社的なシステム構想、DX構想、業務・ITの全体整理に向いています。

ただし、初心者でも基本を知っておく価値はあります。なぜなら、企業のITやDXでは、部分最適ではなく全体最適の視点が必要になるからです。

「このシステムは何の業務を支えているのか」「このデータは誰が使っているのか」「この技術基盤はどの事業目的と関係しているのか」といった問いを持つだけでも、ITや業務設計の見方が深くなります。

Zachman Frameworkの基本的な考え方

Zachman Frameworkの基本は、企業を「行」と「列」のマトリクスで整理することです。

行は、誰の視点で見るかを表します。列は、何を問うかを表します。

初心者向けには、次のように理解するとわかりやすいです。

・行:見る人の立場
・列:整理する問い

6つの問い

Zachman Frameworkでは、企業を整理するために、次のような問いを使います。

・What:何を扱うのか
・How:どのように行うのか
・Where:どこで行うのか
・Who:誰が関わるのか
・When:いつ行うのか
・Why:なぜ行うのか

これは、いわゆる5W1Hに近い考え方です。

企業やシステムを整理するときも、単に「どんな機能が必要か」だけを考えるのでは不十分です。

何のデータを扱うのか、どの業務プロセスで使うのか、どこで処理するのか、誰が関わるのか、いつ実行されるのか、なぜ必要なのかを整理する必要があります。

What 何を扱うのか

Whatは、企業が扱うデータや情報に関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・顧客情報
・商品情報
・注文情報
・在庫情報
・社員情報
・契約情報
・請求情報
・品質情報

システム開発では、Whatの整理が不十分だと、データの重複や不整合が起きやすくなります。

How どのように行うのか

Howは、業務プロセスや機能に関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・受注を処理する
・在庫を確認する
・請求書を発行する
・問い合わせに対応する
・社員を評価する
・研修を実施する
・承認を行う

業務改善では、Howを整理することで、ムダな作業や重複した処理を見つけやすくなります。

Where どこで行うのか

Whereは、業務やシステムがどこで行われるかに関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・本社
・支社
・工場
・営業所
・クラウド環境
・オンプレミス環境
・外部データセンター
・モバイル端末

リモートワーク、クラウド化、グローバル展開を考えるときには、Whereの視点が重要になります。

Who 誰が関わるのか

Whoは、人、組織、役割に関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・顧客
・営業担当者
・製造担当者
・経理担当者
・管理職
・情報システム部門
・外部ベンダー
・システム管理者

権限設計、業務分担、責任範囲を整理するうえで、Whoの視点は欠かせません。

When いつ行うのか

Whenは、時間、タイミング、イベントに関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・注文を受けたとき
・月末締めのとき
・在庫が一定数を下回ったとき
・承認期限が来たとき
・障害が発生したとき
・決算期
・契約更新時
・研修受講後

業務には、実行タイミングや締切があります。Whenを整理することで、スケジュール、トリガー、期限管理を明確にできます。

Why なぜ行うのか

Whyは、目的、方針、ルール、事業上の理由に関する問いです。

たとえば、次のようなものです。

・顧客満足度を高めるため
・在庫ロスを減らすため
・法令を守るため
・経営判断を早くするため
・業務効率を上げるため
・セキュリティリスクを下げるため
・売上を伸ばすため
・内部統制を強化するため

Whyを整理しないままIT施策を進めると、手段が目的化しやすくなります。

「なぜこのシステムが必要なのか」「なぜこのデータを管理するのか」を明確にすることが重要です。

視点の階層

Zachman Frameworkでは、見る人の立場によって整理する内容が変わります。

たとえば、経営者の視点、業務担当者の視点、設計者の視点、開発者の視点、運用者の視点では、同じテーマでも関心が異なります。

初心者向けに言えば、Zachman Frameworkは「同じ会社を、立場の違う人がそれぞれの粒度で見るための枠組み」です。

この考え方を持つと、会議で話がかみ合わない理由も見えやすくなります。経営層はWhyを話しているのに、現場はHowを話している。IT部門はWhatやWhereを話しているのに、業務部門はWhoやWhenを話している。このようなズレを整理するのに役立ちます。

Zachman Frameworkの使い方

手順1 整理したいテーマを決める

最初に、Zachman Frameworkで整理したいテーマを決めます。

企業全体をいきなりすべて整理しようとすると、範囲が広すぎて難しくなります。最初は、特定の業務領域やプロジェクトに絞ると使いやすくなります。

たとえば、次のようなテーマが考えられます。

・全社DX構想
・顧客管理システム刷新
・受注から請求までの業務改革
・データ分析基盤の整備
・グループ会社のIT統合
・人事システムの再構築
・製造現場のデータ活用
・社内申請ワークフローの標準化

テーマを決めることで、何を整理すべきかが明確になります。

手順2 6つの問いで情報を洗い出す

次に、対象テーマについて、What、How、Where、Who、When、Whyの6つの問いで情報を洗い出します。

たとえば、顧客管理システム刷新をテーマにする場合、次のように整理できます。

Whatでは、顧客情報、契約情報、商談履歴、問い合わせ履歴、請求情報などを洗い出します。

Howでは、顧客登録、商談管理、問い合わせ対応、契約更新、請求連携などの業務プロセスを整理します。

Whereでは、本社、営業所、クラウド環境、外部CRM、モバイル端末などを整理します。

Whoでは、営業担当者、営業マネージャー、サポート担当、経理担当、顧客、システム管理者などを整理します。

Whenでは、新規顧客登録時、商談開始時、契約更新時、問い合わせ発生時、月次集計時などを整理します。

Whyでは、顧客対応品質向上、営業効率化、売上予測精度向上、顧客情報の一元化などを整理します。

このように、問いを分けて考えることで、機能だけに偏らず、業務や目的まで整理できます。

手順3 関係者の視点を分けて考える

次に、関係者の視点を分けて考えます。

同じテーマでも、関係者によって見たい内容は違います。

経営層は、事業目標や投資効果を重視します。

業務部門は、日々の作業や使いやすさを重視します。

IT部門は、システム構成、データ連携、セキュリティ、保守性を重視します。

開発者やベンダーは、設計仕様や実装方法を重視します。

運用担当者は、障害対応、監視、権限管理、バックアップを重視します。

Zachman Frameworkでは、こうした視点の違いを整理できます。

たとえば、同じ「顧客情報」でも、経営層にとっては売上や顧客戦略のための情報であり、営業担当者にとっては日々の商談に使う情報であり、IT部門にとってはマスタデータ管理の対象です。

この違いを理解しておくと、関係者間の認識合わせがしやすくなります。

手順4 抜け漏れを確認する

Zachman Frameworkの大きな価値は、抜け漏れ確認にあります。

情報を整理したら、次のような観点で確認します。

・Whatだけに偏っていないか
・Howだけに偏っていないか
・Whyが曖昧なまま進んでいないか
・Whoの責任分担が不明確ではないか
・Whenのタイミングや期限が抜けていないか
・Whereの拠点やシステム配置を見落としていないか
・経営層、業務部門、IT部門の視点がそろっているか
・実行後の運用視点が抜けていないか

たとえば、システム開発では、機能要件であるHowに注目しすぎて、WhyやWhoが曖昧になることがあります。

その結果、「機能はできたが、なぜ必要なのか分からない」「誰が責任を持って使うのか決まっていない」という状態になりがちです。

Zachman Frameworkを使うと、そのような偏りを見つけやすくなります。

手順5 他のフレームワークと組み合わせる

Zachman Frameworkは、単独で詳細設計を行うためのものというより、全体を整理するための枠組みです。

そのため、具体的な分析や設計では、他のフレームワークと組み合わせると効果的です。

たとえば、業務プロセスを詳しく整理するならBPMNを使います。

データの流れを整理するならDFDを使います。

データ構造を設計するならER図を使います。

ITサービス運用を整理するならITILを使います。

ITガバナンスを整理するならCOBITを使います。

全社アーキテクチャの進め方を設計するならTOGAFを使います。

Zachman Frameworkは、「どの視点で何を整理すべきか」を確認する上位の整理表として使うと実務に取り入れやすくなります。

Zachman Frameworkの具体例

例 製造業のDX構想を整理する場合

ある製造業で、全社DXを進めることになったとします。

現状では、営業部門、製造部門、品質保証部門、在庫管理部門、経理部門がそれぞれ別々のシステムやExcelを使っています。

その結果、次のような問題が起きています。

・顧客情報が営業部門ごとに分散している
・受注情報が生産計画にすぐ反映されない
・在庫情報の更新が遅い
・品質データが営業や開発に共有されていない
・経営層が全社の状況をリアルタイムに把握できない
・システム間連携が手作業に依存している

このテーマをZachman Frameworkで整理すると、次のようになります。

Whatでは、顧客データ、商品データ、受注データ、生産計画データ、在庫データ、品質データ、請求データを整理します。

Howでは、受注処理、生産計画作成、在庫確認、品質検査、出荷、請求、経営レポート作成の流れを整理します。

Whereでは、本社、工場、倉庫、営業所、クラウド基盤、既存オンプレミス環境を整理します。

Whoでは、営業担当者、生産管理担当者、品質保証担当者、倉庫担当者、経理担当者、経営層、情報システム部門を整理します。

Whenでは、受注時、生産計画作成時、出荷時、品質検査時、月次締め時、経営会議前などを整理します。

Whyでは、納期回答の迅速化、在庫最適化、品質問題の早期発見、経営判断の高速化、業務効率化を整理します。

このように整理すると、DXが単なるツール導入ではなく、業務、データ、組織、システム、目的を含む全体構想として見えやすくなります。

別の例 人事システムを再構築する場合

別の例として、人事システムの再構築を考えます。

現状では、社員情報、勤怠、評価、研修、異動履歴、資格情報が別々のシステムやExcelで管理されています。そのため、人材配置や育成計画にデータを活用しにくい状態です。

問題は次のように整理できます。

・社員情報が複数システムに重複している
・評価データと研修履歴がつながっていない
・異動履歴やスキル情報を一覧で見られない
・人材育成計画に必要なデータを集めるのに時間がかかる
・個人情報の閲覧権限が明確でない
・人事部門以外の管理職が必要な情報を見にくい

Zachman Frameworkで整理すると、Whatでは、社員情報、部門情報、役職情報、評価データ、研修履歴、資格情報、異動履歴、勤怠データを整理します。

Howでは、採用、配属、評価、研修申込、資格管理、異動、退職、管理職向けレポート作成などの業務を整理します。

Whereでは、本社、人事部門、各事業所、クラウド人事システム、既存勤怠システムを整理します。

Whoでは、社員、人事担当者、上司、部門長、経営層、システム管理者を整理します。

Whenでは、入社時、評価時期、異動時、研修申込時、資格取得時、退職時、年度末などを整理します。

Whyでは、適材適所の人材配置、人材育成の強化、管理職の意思決定支援、個人情報管理の適正化、業務効率化を整理します。

このように整理することで、人事システム再構築の目的や対象範囲が明確になります。

また、単に人事システムを新しくするだけでなく、「人材データをどう活用するか」「誰にどこまで見せるか」「どの業務とつなげるか」まで考えやすくなります。

具体例でわかるポイント

具体例から学べるポイントは次のとおりです。

・Zachman Frameworkは複雑なテーマを多面的に整理できる
・What、How、Where、Who、When、Whyで抜け漏れを確認できる
・経営、業務、IT、運用の視点を分けて考えられる
・DXやシステム刷新の初期整理に役立つ
・目的と手段の混同を防ぎやすい
・データ、業務、組織、システムの関係を見やすくできる
・他の詳細フレームワークと組み合わせやすい

Zachman Frameworkは、答えを直接出す道具というより、複雑な企業構造を整理するための地図のようなものです。

Zachman Frameworkを使うメリット

Zachman Frameworkを使うメリットは、企業やシステムを抜け漏れなく多面的に整理できることです。

主なメリットは次のとおりです。

・企業全体の構造を俯瞰できる
・業務とITの関係を整理できる
・関係者ごとの視点の違いを明確にできる
・DX構想やIT戦略の初期整理に使える
・データ、業務、組織、技術の抜け漏れを確認できる
・目的と手段の混同を防ぎやすい
・複雑なシステム刷新の論点整理に役立つ
・外部ベンダーやコンサルタントとの会話がしやすくなる
・他のフレームワークを使う前の全体整理に向いている
・全社最適の視点を持ちやすくなる

特に大きなメリットは、視点の偏りに気づけることです。

たとえば、システム開発では機能の話に偏りがちです。しかし、なぜその機能が必要なのか、誰が使うのか、どのデータを扱うのか、どの拠点やシステムで使うのか、いつ実行されるのかを考えなければ、実務に合った仕組みにはなりません。

Zachman Frameworkを使うと、こうした視点をバランスよく確認できます。

Zachman Frameworkを使うときの注意点

Zachman Frameworkは便利ですが、使い方を間違えると、抽象的で実務に活かしにくい整理になってしまいます。

よくある失敗例は次のとおりです。

・すべてのマスを埋めることが目的になる
・抽象度が高すぎて具体的な行動に落ちない
・現場業務を確認せずに整理する
・経営層やIT部門だけで作ってしまう
・関係者にとって難しすぎる資料になる
・他の具体的な設計手法とつながっていない
・Whyが曖昧なままWhatやHowだけを整理する
・一度作って終わりになり、更新されない
・大きなテーマを一気に整理しようとして挫折する
・実行計画やロードマップに落とし込まない

特に注意したいのは、Zachman Frameworkは「実行手順」そのものではないという点です。

TOGAFのように、アーキテクチャをどう作り、どう移行するかの方法論とは性格が異なります。Zachman Frameworkは、何を整理すべきかを分類し、抜け漏れを見つけるための枠組みです。

そのため、実務ではZachman Frameworkで論点を整理したうえで、TOGAF、BPMN、ER図、DFD、CRUDマトリクスなどを組み合わせると効果的です。

関連フレームワークとの違い

Zachman Frameworkと関連するフレームワークには、TOGAF、ITIL、COBIT、BPMN、ER図などがあります。それぞれ目的が異なります。

TOGAFとの違い

TOGAFは、エンタープライズアーキテクチャを設計、実行、管理するための方法論です。

Zachman Frameworkは、企業アーキテクチャを視点と問いで分類するためのフレームワークです。

初心者向けに言えば、Zachman Frameworkは「何を整理するかを示す地図」、TOGAFは「どのように進めるかを示す手順」に近いです。

両者は対立するものではなく、組み合わせて使えます。

ITILとの違い

ITILは、ITサービス管理のためのベストプラクティスです。

システム運用、インシデント管理、問題管理、変更管理、サービスデスクなど、ITサービスを安定的に提供するための考え方です。

Zachman Frameworkは、企業全体の構造を整理するための枠組みです。

ITILが「ITサービスをどう運用するか」に強いのに対し、Zachman Frameworkは「企業全体をどの視点で整理するか」に強いと考えると分かりやすいです。

COBITとの違い

COBITは、ITガバナンスとITマネジメントのためのフレームワークです。

ITが経営目標に沿って価値を生んでいるか、リスクが管理されているか、統制が効いているかを確認するために使います。

Zachman Frameworkは、企業の構造を整理するための分類フレームワークです。

COBITが「ITをどう統制し、管理するか」に強いのに対し、Zachman Frameworkは「企業をどう分解して理解するか」に強いといえます。

BPMNとの違い

BPMNは、業務プロセスを図で表現するための記法です。

Zachman FrameworkのHowの領域、つまり「どのように業務を行うのか」を詳しく整理する際に、BPMNが役立ちます。

Zachman Frameworkが全体の論点整理に向いているのに対し、BPMNは業務プロセスの具体的な可視化に向いています。

ER図との違い

ER図は、データ同士の関係を整理するための図です。

Zachman FrameworkのWhatの領域、つまり「何のデータを扱うのか」を詳しく整理する際に、ER図が役立ちます。

Zachman Frameworkが企業全体を多面的に整理する枠組みだとすれば、ER図はデータ構造を具体化するための道具です。

Zachman Frameworkはどんな場面で使うと効果的か

Zachman Frameworkは、次のような場面で使うと効果的です。

・全社DXの論点を整理するとき
・基幹システム刷新の全体像を考えるとき
・エンタープライズアーキテクチャを学ぶとき
・複数部門をまたぐ業務改革を進めるとき
・業務とシステムの関係を棚卸しするとき
・データ活用基盤の構想を整理するとき
・経営層、業務部門、IT部門の認識を合わせるとき
・外部コンサルタントやベンダーとの議論を整理するとき
・複雑なプロジェクトの抜け漏れを確認するとき
・IT戦略と業務戦略のつながりを考えるとき

特に、テーマが大きくて複雑なときに役立ちます。

小さな業務改善であれば、BPMNやロジックツリーのようなフレームワークのほうが使いやすい場合もあります。しかし、全社DXや基幹システム刷新のように、業務、データ、組織、IT基盤、目的が絡み合うテーマでは、Zachman Frameworkのような整理枠が役立ちます。

まとめ

Zachman Frameworkとは、企業アーキテクチャを複数の視点と問いで整理するためのフレームワークです。

企業全体の業務、データ、システム、組織、技術、目的を、What、How、Where、Who、When、Whyの問いで整理できます。また、経営層、業務部門、IT部門、設計者、開発者、運用者など、立場の違いによる見方の差も整理しやすくなります。

Zachman Frameworkの強みは、複雑なテーマを抜け漏れなく多面的に見ることです。DX推進、基幹システム刷新、データ基盤整備、IT戦略、グループ会社統合など、全社的な変革テーマで役立ちます。

一方で、Zachman Frameworkは実行手順そのものではありません。実務では、TOGAF、BPMN、DFD、ER図、CRUDマトリクス、ITIL、COBITなどと組み合わせて使うと効果的です。

まずは、自社や自部門の重要テーマを1つ選び、What、How、Where、Who、When、Whyの6つの問いで書き出すところから始めてみましょう。

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